剣と魔法のファンタジー異世界が舞台のヒロイックバトルもの、第2弾です。
本作の主人公の性格は、またもあなたが選んだ選択肢によってコロコロ変わります。
やっぱり最後まで善人であり続けるのは大変です。色々ガマンしなければならないのです。
もちろん悪人上等な方は今度も思うがまま暴れまわって頂いても結構ですよ。それではどうぞ。

 

 

 

 

 

≪序文≫

あなたは独りきりで旅を続ける謎の戦士です。
正義か、はたまた悪か。その性格や考え方、素性や目的などは今は一切明かせませんが、その強さは本物です。
得意の武器は両手持ちで振るう長柄の薙斧(バルディッシュ)。
防具は動きやすい軽装の皮鎧のみ。盾は動きの邪魔になるだけだとあまり使いません。
そんな腕っぷし自慢のあなたですが、とある経緯で会得した豪水龍の召喚魔法も特別に扱う事ができます。
気性が荒く時として暴走する事もありますが、基本的にはあなたの味方となってくれる頼もしき魔龍です
しかしこれは途中特に回復の手段を用いない限り、作中で使用できるのはただの1回きりです。奥の手の使い所はよく考える事をお勧めします。

他にも本作では、あなたが戦闘で受けるダメージの状態を4つの段階として管理していただきます。
最初は【無傷】ですが、そこから1段階ダメージを受けると状態は【軽傷】へと移行します。
更にもう1段階深いダメージを受けると【重傷】となり、とても危険な状態です。
そこから更にダメージを受ければ最後、主人公は【死亡】してしまいます。こうなれば文字通りのゲームオーバーです。ご注意下さい。

また、この世界には不思議な効果を発揮する様々なマジックアイテムも存在します。
地域によりその品揃えは様々ですが、ここでは比較的よく知られた定番アイテムをご紹介します。
なお、現時点のあなたはこれらはひとつも所持していません。

・【ポーション】
(ひとつ消費につき体の状態を1段階回復させる。【軽傷】なら【無傷】に、【重傷】なら【軽傷】まで戻る)

・【マジックポーション】
(ひとつ消費につき尽きた魔力を全回復させる。前述の魔法の使用回数の回復がこれにあたる)

・【雷神の石】
(衝撃を与えると電撃を発して触れた敵を痺れさせる魔鉱石)

ポーションなどの状態回復薬に関しましては、本作では特にシチュエーションによる使用の制約等はございません。
読者であるあなたが、ご自身の判断でお好きな時に自由に飲んで回復させて下さい。たとえ激しい戦闘の途中であっても、すぐさま懐から取り出して飲む事が可能です。
しかし一旦【死亡】まで到達してしまえば、あとはどれだけ慌てて飲んでも遅い事だけは一応ご忠告申し上げておきます。

それでは拙い作品ではございますが、どうぞ最後までよろしくお付き合い下さいませ。

 

 

 

 

 

孤独の戦士2

 

作:緒方直人

 

 

 

 

 

 

地平の彼方まで広がる視界に見えるのは、どれも同じような砂の山だけ。
俺はラクダに揺られ、この砂漠の旅路を独りきりでずっと彷徨い続けていた。
手持ちの水や食料も既に残り少ない。
懐の財布には金貨【5枚】が入ってはいたが、こんな砂漠のど真ん中では何の役にも立たない。早くどこかの村に辿り着かねば野垂れ死ぬだけだ。
照りつける灼熱の太陽が、昨日の戦いでついたばかりの傷痕を容赦なく焼き焦がしていく。
こんな事なら昨日のアイツらをもっと締め上げて、オアシスの場所くらい聞いておくんだった……

そんな後悔に浸っていた時、ふと顔を上げると遠くに黒い点が見えた。
近づくにつれ、それは行き倒れである事がわかったのでラクダを下りてそばまで歩く。
倒れていたのは、爺さんとまだ若い少年であった。

→水と食料を与えて助けるなら 2へ
→荷物を強奪してそのまま見捨てるなら 3へ

 

 

 

 

 

 

急いで2人を助け起こす。よかった、まだどちらもかろうじて息がある。
彼らは俺の与えた水で意識を取り戻すと、差し出しされた食料も残らず平らげてようやく元気を取り戻した。
【水と食料がすべて尽きた】のを忘れずによく覚えておく事。
以後どこかで補給しない限り、俺は近いうち渇きと飢えに苦しむ羽目になるだろう。

一息ついた爺さんは礼を言うと自己紹介をした。
聞けば砂漠のオアシスの村の民だそうだ。連れは爺さんの孫らしい。
しかしこんな砂漠のど真ん中で行き倒れとは只事ではあるまい。一体何があったのか尋ねてみる。
なんでも2人は村へ帰る途中で運悪く砂漠に出没する巨大モンスター、サンドワームに遭遇し、乗ってきたラクダも一飲みにされて命からがら逃げてきたらしい。
そう言って震える爺さんに、俺は村まで送り届けてやろうと申し出る。
爺さんは大層喜び、村に着いたらぜひご馳走させて欲しいと言ってきた。
なに、実はこの俺も道に迷っていたのだからお互い様だ。こちらからもぜひ頼む。

そうと決まれば早速出発だ。
ラクダを屈ませまずは爺さんを、そして孫の少年を背に乗せてやる。
だがその時、ぽとりと少年の懐から何かが落ちた。それは古い布袋でできた小さなお守りだった。
わざわざ拾い上げてやったのだが「そんなモン、もういらねぇや!」と少年はそっぽを向いてふて腐れるばかり。一体何を怒っているのか。
そうして俺達3人を乗せた重そうなラクダはゆらゆらと砂漠を進み出す。
道すがら、爺さんは先ほどの孫の非礼を済まなそうに詫びるとその訳をぽつぽつと話し始めた。

「さっきのお守りはこの国の守護神、スフィンクス様のものです。ですがまぁ……こんな事になってしまってはさすがに私のような年寄りでさえ、とても神だと崇める気にもなれませんて……」

こんな事とはなんだろう。更に詳しく事情を尋ねてみた。

「私らの村では十年に一度、スフィンクス様に雨乞いの生贄を捧げなければならぬ習わしがありましてな、それがよりによってこの子の姉、イリスに決まってしまったのです。あの占いババアめが、お告げが聞こえただの何だの勝手な事を言いおって……」

「私らも何とか許してくれるよう頼みました。ですがスフィンクス様の怒りに触れて雨が降らなくなっては敵わんと、村の誰もが力になってはくれんかった。薄情な奴らじゃて……」

「そんな悲しみに暮れておった時、この子が突然言い出したのです。『俺、姉ちゃんにあの時の首飾りを買ってやりたい!』と。この子だけが、昔、皆で王都へ行った時のイリスの言葉をしっかり覚えとったんですなぁ……」

「私もその言葉で目が覚めましてな。生きてる内にできる限りの事をしてやろう、そう思うてこの子と一緒に王都まで行き、イリスが欲しがっとったその首飾りを買って戻った、その帰りだったという次第でして……」

何とも掛ける言葉もなかったが、ふと預かったままだったお守りに目を落とす。

【#$%&#$%&#$%&・・・・】

見た事もない変な模様がびっしりと刻み込まれていた。
さて、これをどうするか。
いらないのであれば、こんなものは爺さんにつっ返すなり砂漠に放り投げるなりすればいい。
だがもし気になったのならば、そのまま懐にしまい込む。
その場合は【スフィンクスのお守り】をひとつ手に入れたのを忘れずによく覚えておく事。

その後、俺達は無事に爺さんの案内でオアシスの村まで辿り着いた。
少年は早く姉に首飾りを見せようとラクダからぴょんと飛び下りて一目散に家へと駆け戻っていく。
それを微笑ましく眺める爺さんの後を俺はゆっくりとついて行く。さぁていよいよご馳走だ。
その途中、歩きながら爺さんは懐から何かを取り出して礼だと俺に手渡してきた。

「これはご存じでしたかな? 砂漠を旅されるのでしたらサンドワーム避けにあなた様もおひとつ持っていかれるといい。投げ込む前にラクダを喰われてしまったノロマな私が言うのも何ですが。ほっほっ」

俺はありがたく受け取る事にする。それは強力な電撃を発する不思議な魔鉱石だった。
【雷神の石】をひとつ手に入れたのを忘れずによく覚えておく事。

だが、そんなのんびりした雰囲気もそこまでだった。
あの少年が大勢の大人たちに囲まれて、何やらワァワァと言い合いを始めていたのだ。何事だろうか。

「……さらわれたって何だよ! もうスフィンクス様が来たってのかよ!」

「違うよ! スフィンクス様じゃない! 突然空から使い魔に乗った怪しい男が現れて、イリスちゃんをさらっていっちまったんだよ!」

「真っ黒なローブとフードで顔を隠した不気味な格好だった。きっと怖い呪術師か何かじゃ……」

「そ、それで姉ちゃんは今何処に!?」

「ピラミッドの中だよ! それにアイツ、イリスを人質に村ありったけの財宝を寄こせなんて脅迫までしてきやがったんだ! 雨乞いの儀式がせまってるってのに……くそっ!」

「村長とっときのムーンダイヤモンドも全部含めて持ってったんだがよう、あの野郎、結局使い魔をけしかけて俺らだけ無理やり追い返しやがってよう! ちくしょう、このまま財宝ごと持ち逃げする気なんじゃ……」

「……そ、そんな、姉ちゃんが、姉ちゃんが……」

顔面蒼白になって震えるばかりの少年と爺さん。どうやらもうご馳走になるどころの話ではなさそうだ。
さて俺はどうするか。
もう午後もなかばを過ぎている。今から出ても着くのは遅くなるかもしれない。
何よりご馳走を期待していたのでさっきから腹の虫が鳴りっぱなしで仕方がない。
それに愛用の薙斧も、この所の連戦続きで刃こぼれがかなり酷い。
手持ちのポーションなどのマジックアイテムも、とっくにすべて使い果たしてしまっている。

→このまま急いでピラミッドへ向かうなら 9へ
→急がずしっかりと戦いの準備を整えてから向かうなら 5へ
→面倒事は御免だと無視して村を立ち去るなら 4へ

 

 

 

 

 

 

どれ、誰かは知らんが砂に埋もれてしまう前に遺品を残らず頂いていくか。
行き倒れを蹴り飛ばしてひっくり返し、懐に手を突っ込み中を探る。
2人ともまだしぶとく生きてはいたが、この俺様が人助けなんてしてやると思うか。
虚ろな目でボソボソとうわ言を呟いていたが、やがてそのまま動かなくなる。ふん、ようやくくたばったか。

一仕事を終えると行き倒れの死体をそのままにして、再び砂漠をラクダで進む。
手に入れたのはマジックアイテム【雷神の石】がひとつと、豪華な金細工の【首飾り】、それに財布だった。
石の方はともかく、首飾りの方は大層な値打ちものに違いない。
いくらで売れるだろうかと思わずニンマリする。こいつはデカい町にでも着いたら売り飛ばすとしよう。

それにそこそこの金貨も手に入ったのでそれも自分の財布にしまい込む。
これで俺の今の財布の中身と合わせると、手持ちの金貨は全部で【9枚】になった。
金貨の枚数と手に入れた2つの品は忘れずによく覚えておく事。

その後は何とか運良く小さなオアシスの村に辿り着けた俺。
ひと息ついているとすぐに、ザワザワとこの村の事情が耳に入って来る。

「どうすんだ、スフィンクス様への雨乞いの儀式までもうあと2日しかねぇぞ……」

「儀式を目前にして、まさか生贄の娘が誘拐されちまうなんて……くそっ!」

「使い魔を何匹も操る、恐ろしい呪術師だってねぇ…… まだピラミッドに立てこもったままなのかい?」

「身代金として差し出した財宝もそのまま盗られ損で、まだ娘も返して貰えてないそうじゃないか。もしや、このまま持ち逃げする気じゃ……」

「財宝の中には村長自慢の“砂漠の月”ムーンダイヤモンドもあったんだろ? あぁ勿体ねぇ……」

ムーンダイヤモンド! その名を聞いた俺は激しく心躍る。
確かこの地方でしか採れない美しく金色に光り輝く希少な宝石と聞く。
豆粒ほどの大きさでも優に金貨百枚は下らないとか…… 
これは見過ごす手はない儲け話だ!

さて俺はどうするか。
もう午後もなかばを過ぎている。今から出ても着くのは遅くなるかもしれない。
何より早く数日ぶりのまともな食事にありつきたくて仕方がない。
それに愛用の薙斧も、この所の連戦続きで刃こぼれがかなり酷い。
手持ちのポーションなどのマジックアイテムも、とっくにすべて使い果たしてしまっている。

→このまま急いでピラミッドへ向かうなら 9へ
→急がずしっかりと戦いの準備を整えてから向かうなら 5へ
→面倒事は御免だと無視して村を立ち去るなら 4へ

 

 

 

 

 

 

数ヶ月後、風の噂にあの村の惨状を聞いた。
結局、あの誘拐犯の悪党は娘も返さずに財宝を持ち逃げして行方をくらませたそうだ。
生贄がいなくなった雨乞いの儀式は混乱の末に頓挫。
その後、本当に何ヶ月も雨がまったく降らないという状況にとうとうしびれを切らした村人は、次々に村を捨て出て行ってしまったという。

ま、この俺とはもう何の関係もない話だがな。
こんな物騒な世に生まれたんだ、俺はこうして今日も明日も賢く安全に生き抜いていくのさ。
場末の酒場にてそう独り愚痴ると、安酒を一気にあおる。
もうずいぶんと使っていない自慢の薙斧に浮いた錆びが、見る俺の瞳を今日もまた一段と赤黒く濁らせていくのだった。

≪終劇……?≫

 

 

 

 

 

 

何の情報も準備もなしに敵の根城に無策で乗り込んでいく程、俺も無鉄砲ではない。
砂漠の小さな村の中央広場をのんびりと歩いて回る。焦らずまずは水と食料の補給からだ。
途中オアシスの泉に目をやれば、溜まる水の量も相当少なくなっていた。あれでは村人らが焦るのも無理はない。
交易所に行き、水の値を聞く。やはり相当に釣り上がっていた。
金貨【2枚】を支払えば、充分な量の水と食料を買い込む事ができる。
するかしないかは自由だ。するのであれば【充分に水と食料を補給した】のを忘れずによく覚えておく事。

さて、それでは本格的に買い物へと向かうとしようか。

→鍛冶屋へ行くなら 6へ
→道具屋へ行くなら 7へ
→買い物はせずにこのまま腹ごしらえに行くなら 8へ

 

 

 

 

 

 

村唯一という鍛冶屋へ入った。
とりあえず手頃な業物がないか陳列品の棚を見て回る。
その間に、先に店に来ていた2人組の男達の会話が何となく聞こえて来た。

「……そういや何つったっけあの余所モンの盗賊。アイツもう戻って来たってお前聞いたか?」

「うんにゃ知らねぇ。ピラミッドに墓荒しに行くなんて言ってたあの馬鹿だろ?」

「雷神の石をどっさり買い込んで『これでサンドワームもミイラも怖くねぇ!』とか吹いてたのは笑ったよな」

「サンドワームはともかく、神経干からびたミイラに雷神の石なんて効かねぇのにな……」

一通り見ても、今の俺の装備品に勝る品はひとつも無かった。
ならばと、今度は愛用の薙斧の刃でも研いでもらうかとカウンターへ向かう。
だがなんて事だ。鍛冶屋のオヤジはこんな時間から大層酔っぱらって潰れていた。これではとても自分の大事な得物を任せる気になどなれない。

そのまま店を出ようとしたのだが、ふとカウンターの奥の壁に掛かっていた古びた薙斧に目が留まる。
それ程の業物でもなさそうだが、刃先には淡い不思議な白銀の輝きが宿っていた。あれは……魔力か?
俺の視線の先に気付いたオヤジが半分寝ぼけた様子で話しかけてくる。

「お? ヒック兄ちゃんもしかしてわかんのかい? いや~さすがだね~イヒヒヒ。違いのわかる兄ちゃんにぜひコレ、買ってって欲しいなぁ~?」

馴れ馴れしいオヤジだ。うっぷ、酒臭い息など吐きかけるんじゃあない。

「せっかく仕入れたんだがこんな田舎村じゃあ誰も価値がわからず手にも取ってくれねぇんだよ~。今月も酒場の取り立てが厳しくってさぁ、何かと物入りでさぁ~。そうだな~ウィッ、その今担いでる立派な薙斧を下取りに出してくれんなら金貨【6枚】でどうよ? なぁ兄ちゃん買ってくれるだろ~? ウィ~」

結局最後まで話を聞かされてしまったが、さてどうするか。
どの様な魔力があるのかまではオヤジにもわからないそうだが、頼ってみる価値はあるのかもしれない。
金貨【6枚】を支払えば、この魔法の薙斧と今の薙斧を交換してもよい。
その場合は、薙斧の刃先に【白銀の淡い光が宿っている】のを忘れずによく覚えておく事。

→ひとまず中央広場へ戻るなら 5へ
→このまま道具屋へも行くなら 7へ
→もう買い物は終えて腹ごしらえに行くなら 8へ

 

 

 

 

 

 

割と小奇麗な道具屋へとやって来た。
店主らしき愛想のいいおばちゃんがすぐにパタパタと近寄って来る。
無骨な戦士が珍しいのかしきりにアレコレ尋ねて来るのがうっとうしかったがこれも貴重な情報源だ。
適当に話を合わせつつ、呪術師が逃げ込んだというピラミッドについて聞き出す。

「昨日の晩は頂上付近から明かりがチラチラ漏れてたわよ。きっと眺めの良いあの辺りを寝床にしてるんじゃないかしらねぇ……」

役立ちそうな話はこれくらいだった。あとはダンナの愚痴やら御近所の噂とかどうでもいい話ばかりが延々と続いた。
まだまだ話したりなそうなおばちゃんをいい加減制すると、マジックアイテムの品揃えを尋ねる。
ポーションの類は随分と値が張るようだ。ちょっと買うのをためらってしまう。

・【ポーション】 金貨4枚
(ひとつ消費につき体の状態を1段階回復させる)

・【マジックポーション】 金貨4枚
(ひとつ消費につき尽きた魔力を全回復させる)

・【雷神の石】 金貨2枚
(衝撃を与えると電撃を発して触れた敵を痺れさせる魔鉱石)

おや、これはなんだろう。
商品の物色の最中、ふと机の籠に山と積まれた布袋にも目がいった。

【#$%&#$%&#$%&・・・・】

謎の模様がびっしりと刻み込まれている。

「あぁそれ? この国の民なら誰でも持ってるスフィンクス様のお守りだよ~。旅の記念にアンタもひとつどうだい?」

……俺は別に観光に来た訳ではないんだが。

・【スフィンクスのお守り】 金貨2枚
(単なるお守り。信ずればご利益あるかも?)

買うとすればこれらの4つからだろう。
ちなみにマジックアイテムはどれも現品限りで、同じものを複数購入する事はできない。
お守りだけはさすがに山とあるが、こんなものはひとつ買えば充分だ。
いずれにせよ、買った物は忘れずによく覚えておく事。

→ひとまず中央広場へ戻るなら 5へ
→このまま鍛冶屋へも行くなら 6へ
→もう買い物は終えて腹ごしらえに行くなら 8へ

 

 

 

 

 

 

ガチャーン!
「こらテメェ! まーたやりやがったな!」

喧噪賑わう夕刻の酒場。
注文した料理にいよいよフォークを刺そうしたその時、厨房の方で大声が上がった。
覗いてみると禿げ頭の料理人が、見習いらしきハーフオークの子供に対し真っ赤な顔で怒鳴っている。どうやら皿でも割ったらしい。
よくある事だと俺は無視して食事を続けようとした。
だがその後も延々と料理人の口汚い罵倒を聞かされ続けては、さすがの俺も堪忍袋の緒が切れる。

「おいお前。いい加減にしろ。飯が不味くなるだろうが」

俺の声に振り向いた料理人は最初唖然としていたが、見習いの前で恥をかかされたとでも思ったか、増々顔を真っ赤にして今度は包丁を振り上げ躍りかかって来た。
やれやれ、気の短い奴だ。俺はその突進を軽くかわして相手の腕をむんずと背中からねじり上げる。
イテテテテテ! 料理人はあっさりと大人しくなった。
だがこの程度じゃせっかくの飯を邪魔された俺の気が収まらん。
どれ、このまま腕の一本でも……

「ヤメテ ソレイジョウ イケナイ」

見かねたハーフオークの子供が片言で間に割って入って来た。
ぬぅ、この俺がまさか子供に止められるとは。
すっかり白けた俺だったが、このまま見過ごすのも癪だったので料理人がぶら下げていた首飾りを引きちぎる。
いくらにもならんだろうが一応貰っといてやろう。
この俺を怒らせたんだ、命まで取られないだけ有り難く思え。
安っぽい【首飾り】をひとつ手に入れたのを忘れずによく覚えておく事。

そのまま俺は勘定も払わずに店を出た。
さて、わかっていた事だがもうとっくに真夜中だ。冷え込む夜の砂漠などとても横断する気になれない。
その晩はゆっくりと宿を取り、翌朝改めて呪術師が根城にしているというピラミッドを目指して出発した。

9へ

 

 

 

 

 

 

再びラクダに鞭打つと、ピラミッドを目指して旅立つ。
だが砂漠を焼き焦がす太陽は容赦なく俺の体力を奪っていく。
堪らずに荷物をまさぐる。み、水……それに食料も……

さて、水と食料はどの程度残っていたであろうか。
もしどこかで【充分に水と食料を補給した】のならば、俺は道すがらラクダの背の上でしっかりと体力を蓄えながら進む。
だが逆に【水と食料がすべて尽きた】ままであれば、乾きと飢えに苦しむ俺はここで極度に体力を消耗する事になる。
外傷さえないものの、おそらくは深い傷を受けたのと同等の戦力しか残らない。
その場合は今後回復の手段がない限り、戦いにおいて体の状態は【重傷】と同じに扱う事。
これは次に一撃を受ければ命はないといったギリギリの状況を意味する。充分に覚悟せねばならない。
一方で上記のどちらの条件にも覚えがなければ、確かまだ若干の残りがあったはずだ。
その場合は多少体力の消耗は抑えられる。体の状態は【軽傷】と同じに扱う事。

さて、ピラミッドまであともう一息だ。
だがその時だった。突然、目の前で砂丘が急激に盛り上がっていく?!

ズザザザァァァッッ!!
ピギャァァァァァァ!!

砂漠の巨大モンスター、サンドワームだ!
砂の中から焦げ茶色をした巨大な芋虫の様な怪物がズルズルと這い出して来た!
細かい牙がびっしりと並んだ大口をがばりと開き、そこから悪臭を放つ粘液をヌラヌラと滴らせている。
今にもこの俺をラクダごと飲み込まんと襲い掛かってきそうな勢いだ。どうする?

→自慢の薙斧で戦うなら 10へ
→豪水龍の召喚魔法で戦うなら 11へ
→雷神の石を使って戦うなら 12へ

 

 

 

 

 

 

10

すぐさま背中の薙斧を両手でしっかと構えると、サンドワームに斬りかかる!
だが奴の体皮はまるでゴムの様な弾力性があり、なかなか刃で斬り刻む事ができない!
くそっ! 武器の相性が悪すぎたか!

ひるんだ俺の隙をついてサンドワームはトゲの付いた尻尾で横薙ぎに俺を払い飛ばす!
ぐおぉぉっ! 巨大モーニングスターをまともに食らったかの様な重い一撃!
吹っ飛ばされた俺は負傷する。まだ傷を負ってない無傷の状態ならば【軽傷】に。既に軽傷であれば【重傷】となる。
もしも既に重傷だったのならば俺の冒険はここまでだ。残念だが本を閉じる事。

まだ戦えるのであれば、ひと呼吸置き気を落ち着かせて戦術を変える。
薙斧の刃先をくるりと上下にひっくり返し、今度は峰打ちの握りとした。
サンドワームの背中に飛び乗り、頭部と思しき部分をメイスのごとくにぶっ叩く!
ドスッ! ボスドスボスッ!! どうだっ! これでもかっ!

ピギャ、ピ、ピギャァァ……!

乱打に耐えきれなくなったか、サンドワームは戦意を失い再び砂の中へと潜って消えた。
ふぅ…… なんとか追い払えたようだ。

13へ

 

 

 

 

 

 

11

これだけの巨体、相手をするのもちと面倒だ。ならば久々にこの手を使うとするか!
口の中で短く呪文を詠唱した。
たちまち血が沸騰するかの様な熱い力がみなぎる。
毛という毛が逆立ち全身が青黒い光を放ち出す。
そして左手をサンドワーム目掛けてかざすと、最後の呪文を声高に叫んだ!

「イーブンバツータ! スカラーベルージュ! 出でよ我が僕、リヴァイアサァーーンッ!!」

たちまち手の平から豪水龍リヴァイアサンが出現する!
大量の水飛沫を撒き散らしながら飛翔する蒼き龍は、一直線にサンドワームの口の中へ!

ギュルジュルジュルルゥッッッ!!

やがて水風船の様に醜くその巨体を膨らませていくサンドワーム! そして……

ドパァァアァァンン!!!

一気に破裂!
内側から突き破り飛び出して来た豪水龍はバラバラの細切れと化した肉片を渦巻き状となりかき集めていく。
巨大な水竜巻となった豪水龍は凄まじい水圧で最後の一片までをも粉微塵にしていき、やがて贄に満足したか自身も空に消えていった。

ハァハァ、さすがに疲れた……
まったく……俺もとんでもない奴と契約してしまったものだ。
【魔力がすべて尽きた】のを忘れずによく覚えておく事。
今後、特にこれを回復する手段を使わない限り魔法を使う事はできなくなった。

13へ

 

 

 

 

 

 

12

こんな時こそこいつの出番だ!
腰の皮袋から雷神の石をひとつ取り出す。薙斧の柄にガチンとぶつけ、すぐさまサンドワームの巨大な口腔へと放り込む!

バチッ! バチバチッ! バリバリバリィッ!!

体内から鈍い破裂音が立て続けに響き、その都度ビクンビクンと巨大な胴体がのたうち回る!
さっき放り込んだ雷神の石が、中で強力な電撃を発しているのだ!
【雷神の石】をひとつ減らす事。
電撃で神経をズタズタにされたサンドワームはその動きが極端に鈍る。
よって今後、サンドワームより攻撃を受けても【そのダメージは無効として処理してよい】。
以上の条件を忘れずによく覚えておき、改めてサンドワームと対峙せよ。

→自慢の薙斧で戦うなら 10へ
→豪水龍の召喚魔法で戦うなら 11へ

 

 

 

 

 

 

13

呪術師が人質の娘と立て篭もっているというピラミッドに辿り着いた。
それほど大きな造りでもない。それよりその横にそびえる巨大なスフィンクスの石像の方が余程目を引く代物だった。
これがこの国の守り神という奴か。まるで俺の方が主役だと言わんばかりの圧倒的な大きさだ。
ラクダを適当な日陰に休ませると、ひんやりとしたピラミッドの内部へと足を踏み入れた。
さて、呪術師は果たしてピラミッドのどこに潜んでいるのか。

ギーッ! ギギィギギィーッ!!

さっそく敵のお出迎えだ!
呪術師とやらが使役する、コウモリの様な真っ黒な翼を生やした使い魔共が次々と襲い掛かって来る!
薙斧をしっかと両手に構え、俺は使い魔の群れの中へと突っ込んで行く!

ズバッ! ザシュッ! ズバァッッ!!

斬! 斬! 斬ンッ!!
間合いに入って来る敵を片っ端から薙ぎ払う!
右から左へ、そして下からそのまま上へ!
一瞬も止まらぬ無拍の太刀筋は、俺の周囲で華麗な軌線を描く!
この程度のザコなら造作もない! 死にたい奴からかかって来るがいい!!

数秒と掛からずに一匹残らず使い魔を斬り墜とした。
薙斧を収め、再び通路を進む。
その先は吹き抜けとなったピラミッド中央の大広間へと通じていた。
シンと静まりかえり、空気も刺す様に冷たく澄んでいた。
何かの儀式用だったのだろうか。壁一面には神話と思しき絵物語がびっしりと書き込まれていた。
しばし息を飲む程に、それは圧巻だった。

だが俺に立ち止まっている暇はない。すぐに次に行くべき道を探す。
まず正面にはいかにもといった荘厳な造りの幅広の上り階段。
そしてその脇には反対に小さく狭い下り階段。
一方で広間の奥の方には、一か所だけだが小さな別の通路も見えている。
さて、俺はどの道を進むのか。

→上り階段を行くなら 14へ
→下り階段を行くなら 15へ
→奥の通路へ行ってみるなら 16へ

 

 

 

 

 

 

14

幅広の階段を一気に駆け上る。
より一層濃くなる禍々しい邪気が、俺の選択が正しかった事を物語っていた。

ゴオォォッッ!!
?! 危ないッ!!

上りきるや否や、猛然と飛んで来た巨大な火球を間一髪でかわす!
そこには確かにいた。真っ黒なローブとフードに身を包んだ、邪悪な気を放つ呪術師が!

「……何故、邪魔をする? お前もワシと同類であろう。感じるぞ、お前の内に秘められし、巨大な邪気の力を……」

「一緒にするな。貴様の様な小者は邪気におぼれ、己の力を過信しているに過ぎん。それに……」

ギリリと、俺は改めて薙斧を握り直すと奴を見据えて力強く言い放った。

「主語が違うな。貴様が、この俺の邪魔をしているのだ!」

→薙斧で攻撃を仕掛けるなら 23へ
→豪水龍の召喚魔法を放つなら 24へ
→雷神の石を放り投げるなら 25へ

 

 

 

 

 

 

15

狭く長い階段を下りた先は、小さな地下室だった。
だが、そこにあったものの異様さが俺の足を踏み止まらせた。
うつ伏せに倒れた盗賊風の男と、部屋の半分以上を占める巨大な棺桶だ。
その他には誰もいないし特に扉も階段もない。単なる行き止まりでしかなさそうだ。

さて、俺はどうするか。
ここからではあの男の生死はわからないし、何かの罠かもしれない。
もちろん無駄足だったと判断し、このまま階段を戻って別の場所へ行っても構わない。
その際は当たり前だが、俺は一度行った場所へ二度行く様な真似はしない。

→戻って上り階段を行くなら 14へ
→戻って奥の通路へ行ってみるなら 16へ
→倒れた男に近づいてみるなら 19へ

 

 

 

 

 

 

16

近づいてみてわかったが、そこは通路でも何でもないただの小部屋だった。
無駄足だったか。覗いてみても特に何もな…… ん?

ニャーン

な、なんだ? 思いがけない気の抜けた鳴き声を耳にし、不覚にもたじろぐ。
やがてトテトテトテっ、と俺の足元に走り寄って来る小動物。……猫だ。
邪気や殺気は感じない、至って普通の猫だ。しかしなぜこんな所に猫が……

おや? これは?
猫の背中の模様が、何だか奇妙な形をしているのに気が付いた。

【#$%&#$%&#$%&・・・・】

さて、この模様に見覚えがあるだろうか。そしてそれは今、手元にあるか。
持っていなければ呪術師を求めて他へと移動する。
その際は当たり前だが、俺は一度行った場所へ二度行く様な真似はしない。

→戻って上り階段を行くなら 14へ
→戻って下り階段を行くなら 15へ
→同じ模様の品を持っているなら 17へ

 

 

 

 

 

 

17

その時だった。ぼんやりと懐から紫色の淡い光が漏れだしてきた。
何事かと取り出してみればあのスフィンクスのお守りとやらが放つ不思議な光であった。

『おぉ人間、よくぞ我の守りを持って来たな』

ぬぉ、猫がしゃべった?!
俺は目を見開いた。確かに猫は俺の顔をじっと見つめながら語りかけてきている。

『む、もしや異国の者か? まぁいい。我はこの地の偉大なる神、スフィンクスであるぞ。その我の守りを媒介として、お主に声を伝えておるのだ』

スフィンクスだと? この猫が??

『ちょうどよい。人間、お主に命ずる。我の力を奪ったあの憎き呪術師を滅し、我の力を取り戻すのだ。よいな』

よいな、だと…… 会ったばかりで随分と高圧的な神もいたものだ。
まぁそもそも腰の低い神など今まで見た事も聞いた事もない訳だが。

『ただでとは言わんぞ。ここに在りし宝は好きなだけ持って行くがよい。それとな、少しばかりの残った我が力も、お主にすべてくれてやろう。これを使って必ず勝て。よいな』

そう言って猫は口をあんぐりと開けた。
ぽぅっ、ぽうっと飛び出した2つの紫の光の塊が、俺の胸の中と背中に背負う薙斧の柄にと、それぞれすぅっと吸い込まれていく。
やがて体の奥底からふつふつと湧き上がって来る神々しい力。
これは凄い……これが神の力の片鱗か!

もし既に魔力が尽きていたのならば【尽きた魔力が完全に回復する】。
そして体の状態も軽傷であれば【無傷】に、重傷であっても【軽傷】までに戻る。
加えてもうひとつ、薙斧の柄に【紫の淡い光が宿っている】のも忘れずによく覚えておく事。

『確かに命じたぞ。あの呪術師さえ死ねば、奪われた我が力もすべて戻るはずだ…… ニャーン』

それっきり、猫は憑き物が落ちた様にキョトンとした顔でプイと外へと歩き出した。
さて、では俺も他へ向かうとするか。
当たり前だが、俺は一度行った場所へ二度行く様な真似はしない。

→戻って上り階段を行くなら 14へ
→戻って下り階段を行くなら 15へ
→猫にもっと聞きたい事があるなら 18へ

 

 

 

 

 

 

18

むぎゅっ!
フギャギャギャギャッ?!

すかさず後ろから猫の首根っこを掴み上げた。
待て! お前にはもう少し聞いておきたい事がある!

『な、なに? あの雨乞いの生贄はどういう事かだと…… ふん、別にあれは昔から我を敬う民が進んでやっているだけの事だ。天の理をどうこうするなぞ我の役目でも何でもない。確かレインだか何だかの下等な雨の神の務めだったはず……』

なん、だと……? では、生贄の意味は……?

『当然、日頃より民を守ってやっている我への感謝の念からであろうて。他に何があると言うのだ? どうぞ食ってくれと言うのだから、我も拒む様な無粋はせん。十年に一度の供物として、我もそこそこの楽しみとしておる。さぁて、此度の娘はどの様な味がするかのう…… ニャ♪ ニャ♪』 

な……とんだクソッタレの神もいたものだ!
俺は怒りのあまり、そのまま猫を放り投げる!
ベチッと壁に叩きつけられた猫は、そのままフギャフギャ鳴きながら走り去っていった。

憤懣やるかたない気持ちもそのままに、俺は他へと向かう。
当たり前だが、俺は一度行った場所へ二度行く様な真似はしない。

→戻って上り階段を行くなら 14へ
→戻って下り階段を行くなら 15へ

 

 

 

 

 

 

19

充分警戒した上で、慎重に倒れた男の元へと近づく。
……ダメだ、男はとっくに死んでいた。首の骨が完全に折れてしまっている。しかしなぜこんな場所で……

ガタッ! ガタガタッ!

何だッ!?
見ればあの棺桶の蓋がゆっくりと開き、中から巨大なミイラが這い出してきている!
戦うか? それとも逃げるなら今のうちだ!
その場合は階段を戻り別の場所へ行く。
そして当たり前だが、俺は一度行った場所へ二度行く様な真似はしない。

→戻って上り階段を行くなら 14へ
→戻って奥の通路へ行ってみるなら 16へ
→薙斧で戦うなら 20へ
→豪水龍の召喚魔法を放つなら 21へ
→雷神の石を使うなら 22へ

 

 

 

 

 

 

20

ズバッ! ザシュッ!

のっそりと迫って来る巨大ミイラに、薙斧で次々と得意の斬撃を浴びせる!
だがまるで砂を斬る様な乾いた手応えしかない!
しかも腕や脚の一本を斬り飛ばしたくらいでは不死なるミイラは止まりはしなかった!
覆いかぶさる様に倒れ込んだ奴の大口が、俺の肩に深々と食い込む!
うぉぉぉ?! ぐぬぅっっ!!

俺は負傷した。まだ傷を負ってない無傷の状態ならば【軽傷】に、既に軽傷であれば【重傷】となる。
もしも既に重傷だったのならば俺の冒険はここまでだ。残念だが本を閉じる事。

まだ戦えるのであれば、やっとの思いで抜け出し今度は巨大ミイラの首をバッサリと下から斬り上げる!
ごろりと大きな首が転げ落ち、今度こそミイラはその動きを止めた。
やれやれ、厄介な相手だった……

静けさの戻った地下室、改めて俺は盗賊男の残した荷物袋をまさぐる。悪いが使わせて貰うぞ。
中には【ポーション】そして【雷神の石】がそれぞれひとつずつ入っていた。
これらの品を手に入れたのを忘れずによく覚えておく事。
ポーションはこのまま取っておいても構わないし、今すぐ飲んで回復させてもよい。
その場合は【軽傷】なら【無傷】に、【重傷】であっても【軽傷】までに戻る。

さて、探す呪術師はここにはいなかった。階段を戻り別の場所へ行くとしよう。
当たり前だが、俺は一度行った場所へ二度行く様な真似はしない。

→戻って上り階段を行くなら 14へ
→戻って奥の通路へ行ってみるなら 16へ

 

 

 

 

 

 

21

干からびた死体など激流で押し流してやる! 豪水龍を従えるこの俺様に出会った事を後悔するがいい!

ゴォォオォッ!!!

荒れ狂うリヴァイアサンは確かに巨大ミイラを一瞬で散り散りに押し流した。
だが、たったそれだけの生贄でこの呼び出された暴れ龍が満足するはずがなかったのだ。

ギュォォッ! グワォォオオンン!!!!

『今度は貴様の命をよこせ!!!!』

そう言わんばかりにリヴァイアサンは次なる贄を求めて今度は俺自身に襲い掛かって来た!
もはや自分でも召喚が止められない!
しまったァ! まさかこんな事にィィ!? ウボァーーーッ!!!

逃げ場のない閉鎖空間で俺の体はあっという間に激流に揉みくちゃにされ、やがてさっきのミイラと全く同じ運命を辿る羽目になった。
体の状態がどれだけであろうと関係ない。俺の冒険はここまでだ。残念だが本を閉じる事。

 

 

 

 

 

 

22

黄泉の亡者め、これでも食らって痺れるがいい!
雷神の石に衝撃を与え、巨大ミイラの大きく開いた口の中に放り込む!

バチッ! バチバチバチィッ!

…………

だが、放電の音はするものの一向に巨大ミイラの動きは止まらない?!
何故だッ?! もしや不発ッ!?
【雷神の石】をひとつ減らす事。
ハッと気付けば巨大ミイラの手がそこまで迫る!
もう背中を見せていてはやられる! 戦うしかない!

→薙斧で戦うなら 20へ
→豪水龍の召喚魔法を放つなら 21へ

 

 

 

 

 

 

23

瞬時に床を蹴り抜き、身を低くした姿勢で疾風のごとく駆ける!
呪術師相手に下手な様子見は命取り!
詠唱の隙を与えず一気に間合いを詰めて斬るッ!
俺の突撃に臆したか、奴は身動きひとつせず立ちすくむのみ。
他愛ないな! ならばッ!!

薙斧が唸りを上げて弧を描き、呪術師の体を完璧に捕えた!
だがその刹那、奴の口元がニヤリと歪む?!
ガキィンン! 俺の渾身の一撃が見えない壁に遮られ何故かそれ以上届かない!
しまった! 奴は既に防御用の結界壁を張っていたのか!!

→薙斧の一部に何らかの【淡い光が宿っている】なら 26へ
→普通の薙斧のままなら 27へ

 

 

 

 

 

 

24

薙斧を構える振りをして、口の中で小さく召喚魔法を詠唱する。
不用意に間合いを詰めず、じりじりと奴の周囲を円周状に回り動く。
奴が先に呪術を放った、その一瞬の隙を狙う!
充分に時間を与えた上で…… 俺はワザと痺れを切らしたかの様に突撃!
すかさず奴の杖がひるがえり再び火球が放たれる!
だが元々回避に専念していた俺は余裕で軌道を読み、かわす!
同時に左手を奴に向かって勢いよく突き出した!

「イーブンバツータ! スカラーベルージュ! 出でよ我が僕、リヴァイアサァーーンッ!!」

驚愕する呪術師! 俺の奥の手、召喚龍だ!
魔力を吸い上げ、手の平から一気に伸びていく豪水龍!
そのまま奴をばくんとひと呑みにし、竜巻回転でピラミッドの天井を突き破ると高々と飛翔! どうだッ!!

【魔力がすべて尽きた】のを忘れずによく覚えておく事。
今後、特にこれを回復する手段を使わない限り魔法を使う事はできなくなった。

……しばらくの後、天井の穴から再びベチャリと堕ちて来た呪術師。
四肢も千切れ果て、息も絶え絶えの瀕死の姿。
他愛もない、これで俺の勝ちだ。
じわじわと奴の体から炎が噴き出し、その身を焼き焦がしていく。
ふん、邪気に呑まれた悪党に相応しい最後だ。
俺は静かに勝利の余韻に浸ろうとしていた。
だが変だ、何か、様子が……?

ゴオオオォォォォッッ!!!

一層大きく! 今度は黒紫の炎が勢いよく立ち昇った!
呪術師の体も焼け崩れるどころか、ボコボコと急激に膨らみ増していく?!
これは……変化?!

「……ただでは死なんッ!! こうなれば奪ったスフィンクスの力をすべて暴走させてやるゥッ!! お前を地獄の道連れにィ!! 究極の破壊獣となってくれようゥゥuuu!!!」

何だッ! 奴は何を言っているッ!?
業火の勢いで聞き取れないが、間違いなく奴はとんでもない事をやらかそうとしている!

GUgyaowoww!!!!!

やがて炎に包まれた奴の体は見上げる程の巨大な猛獣と化した!
黒紫の魔炎をたてがみのごとくに振り乱し吠えるあの姿はまさしく獅子!
あ、あれはスフィンクス…… いや、地獄の魔獣、マンティコアか!?

→薙斧で攻撃するなら 28へ
→豪水龍の召喚魔法を放つなら 29へ
→雷神の石を使うなら 30へ

 

 

 

 

 

 

25

雷神の石を取り出し、衝撃を与え呪術師に向かって放り投げる! だが!

……コツン

奴は飛んで来た石を杖で軽く弾き飛ばす。
床に転がり、バチバチと放電した後に黒炭と化す石。
しまった! アレは直接触れるか飲み込むかしてくれないとまるで効果がないんだった!
あたふたしてる間に、呪術の詠唱を終えた奴の杖がゆっくりと突き出された!

ゴォオアァッ!!

途端に猛烈な勢いで噴き出された火球が今度こそ俺を直撃!
ドス黒い炎が全身を容赦なく焼き包む!!
床を転げまわって消そうにも全身じっとり纏わりつく炎は全く消える様子がない!
ウガァァァァ! な、何故だ! 何故消えないィィ!?
痛みと熱に耐えきれず無様に泣き叫ぶ俺を見て、呪術師は不敵な笑いを響かせるのだった。

「フファファ! スフィンクスの力で増幅された我が呪術の炎はもはやこの世のものにあらず! 貴様の骨一本すら残らず焼き尽くすまで、決して消えはしない地獄の魔炎なのだ! ヌフフグフフゥゥ……!」

段々と意識が遠のいていく。完全に……判断、ミスだ、った、俺……の……
体の状態がどれだけであろうと関係ない。
俺の冒険はここまでだ。残念だが本を閉じる事。

 

 

 

 

 

 

26

その時だった!
薙斧に宿っていた光が一層眩しく輝きだした!
パリィンン!
即座に甲高い音が響き、奴の結界壁があっけなく砕け散る!
何が起こったかわからず驚愕の表情を浮かべる呪術師!
構わず振り抜いた俺の薙斧の一閃は、奴の胴体を一発で切断する!!

「……バ、バカ、な…… その、光…… ワシの……結、界……が……」

当の俺自身ですら信じられない奇跡であった。
そうか、あの光…… あの光には、こんな凄い力があったのか……

血糊を振り払い、薙斧を収める。他愛もない。これで俺の勝ちだ。
じわじわと奴の体から炎が噴き出し、その身を焼き焦がしていく。
ふん、邪気に呑まれた悪党に相応しい最後だ。
俺は静かに勝利の余韻に浸ろうとしていた。
だが変だ、何か、様子が……?

ゴオオオォォォォッッ!!!

一層大きく! 今度は黒紫の炎が勢いよく立ち昇った!
呪術師の体も焼け崩れるどころか、ボコボコと急激に膨らみ増していく?!
これは……変化?!

「……ただでは死なんッ!! こうなれば奪ったスフィンクスの力をすべて暴走させてやるゥッ!! お前を地獄の道連れにィ!! 究極の破壊獣となってくれようゥゥuuu!!!」

何だッ! 奴は何を言っているッ!?
業火の勢いで聞き取れないが、間違いなく奴はとんでもない事をやらかそうとしている!

GUgyaowoww!!!!!

やがて炎に包まれた奴の体は見上げる程の巨大な猛獣と化した!
黒紫の魔炎をたてがみのごとくに振り乱し吠えるあの姿はまさしく獅子!
あ、あれはスフィンクス…… いや、地獄の魔獣、マンティコアか!?

→薙斧で攻撃するなら 28へ
→豪水龍の召喚魔法を放つなら 29へ
→雷神の石を使うなら 30へ

 

 

 

 

 

 

27

バリバリバリバリィッ!!

結界壁の魔力か?! 薙斧を伝って今度は俺の体に強力な電撃が駆け巡る!
ぐああぁぁっっ!!
まだ傷を負ってない無傷の状態ならば【軽傷】に、既に軽傷であれば【重傷】を俺は負う。
もしも既に重傷だったのならば俺の冒険はここまでだ。残念だが本を閉じる事。

まだ戦えるのであれば、痛みに負けじと握った柄に一層の力を込める!
ぬぅおぉぉお! 舐めるなぁあッ!!

パリィンン!
甲高い音が響き、ようやく奴の結界壁が砕け散った!
間一髪、奴の詠唱が終わるよりも早く薙斧の一閃が奴の胴体を一発で切断する!!

「……バ、バカ、な…… ワシの……結界、が……破られ、る、とは……」

ハァハァ…… 危ない所だったが、これで、俺の勝ちだ……
じわじわと奴の体から炎が噴き出し、その身を焼き焦がしていく。
ふん、邪気に呑まれた悪党に相応しい最後だ。
俺は静かに勝利の余韻に浸ろうとしていた。
だが変だ、何か、様子が……?

ゴオオオォォォォッッ!!!

一層大きく! 今度は黒紫の炎が勢いよく立ち昇った!
呪術師の体も焼け崩れるどころか、ボコボコと急激に膨らみ増していく?!
これは……変化?!

「……ただでは死なんッ!! こうなれば奪ったスフィンクスの力をすべて暴走させてやるゥッ!! お前を地獄の道連れにィ!! 究極の破壊獣となってくれようゥゥuuu!!!」

何だッ! 奴は何を言っているッ!?
業火の勢いで聞き取れないが、間違いなく奴はとんでもない事をやらかそうとしている!

GUgyaowoww!!!!!

やがて炎に包まれた奴の体は見上げる程の巨大な猛獣と化した!
黒紫の魔炎をたてがみのごとくに振り乱し吠えるあの姿はまさしく獅子!
あ、あれはスフィンクス…… いや、地獄の魔獣、マンティコアか!?

→薙斧で攻撃するなら 28へ
→豪水龍の召喚魔法を放つなら 29へ
→雷神の石を使うなら 30へ

 

 

 

 

 

 

28

最上段に振りかぶり、一足飛びに奴の懐へ飛び込む!
振り下ろす渾身の一撃! 薙斧が完璧な間合いで奴の額をかち割る! 飛び散る血飛沫! やったか!

だが、マンティコアは額を割られてもなお間髪入れず俺の着地の隙を狙って鋭い鉤爪を放ってきた!
危ない! とっさに体をひねって何とかかわそうとする!
軽く右脇腹の肉を裂かれ血が滲むが問題ない!
一旦間合いを取り、体勢を立て直す!

憤怒の瞳で俺を威圧するマンティコア。
並みの戦士ならそれだけで気を失いかねん程の猛烈な覇気だ。
やるな……やはりただの獅子とは違うか…… だが負けはせん!

次の攻撃に踏み込もうとしたその時だった。
マンティコアの魔炎のたてがみが、一層勢いを増して激しく立ち昇っていく!
まずいッ!? 何かが……来る!!

ゴァアアアアァッッ!!!

大きく開いた奴の口から特大の火球が飛び出した!!
それも1発や2発ではなく何発も連続で来る!
魔獣と化した奴には詠唱の隙すらもないというのか!?
足がもつれる! バランスを崩す! 来た! 避けられない!
迫り来る火球に向かって、俺はその時ほとんど無意識に薙斧を振るっていた。

→薙斧の刃先に【白銀の淡い光が宿っている】なら 31へ
→それ以外の光、もしくは普通の薙斧なら 32へ

 

 

 

 

 

 

29

これで最後だ!! 俺の残ったすべての力、我が相棒に注ぎ込み貴様を倒す!!
左手を突き出し声高に呪文を詠唱!
マンティコアも完全に理性を捨てた野獣と化し、咆哮と共に俺に喰らいつかんと飛び掛かる!
勝負だ!! 吼えろォ!! リヴァイアサァァン!!!

ドゴゴォォォォォォッッ!!!

マンティコアと俺の豪水龍が空中で激しくぶつかり合う!
左腕に更に右手を添え、俺は魔力の放出を限界まで上げた!
下手すれば意識さえ、魂さえ持っていかれかねない危険な賭けだ!
だが歯を食い縛り、懸命に耐える!
はあぁッッ!! 行けえぇェ!!

ドバアアアッッ!!! ズドォォンン!!!

俺の気合いと共に更に膨みを増した豪水龍がついに競り勝った!
マンティコアの全身を一気に飲み込む!
そのまま壁を突き破り、錐揉み状となって天空へと駆け昇る!
激流の水圧にその身を細く絞り千切られた奴は、やがて塵となり、水飛沫と共に飛散し……果てた!!

【魔力がすべて尽きた】のを忘れずによく覚えておく事。
今後、特にこれを回復する手段を使わない限り魔法を使う事はできなくなった。

ハァ……ハァ……ハァッ……ぐぅっ…… 
堪らず膝を付く。魔力だけでなく体力すらも一滴残らず吸い尽くされた様だ。
だが、悔いはない…… 俺は勝った! 間違いなく……勝ったのだ!
これこそが俺の道! 戦いの中でしか生きられぬ俺の……俺の生きる証!!
強敵を相手に久々に全力を出しきった俺は今、これ以上ない程の大きな満足感に包まれていた。

→このままこの地を後にするなら 38へ
→まだやり残した事があるなら 34へ

 

 

 

 

 

 

30

マンティコアの怒涛の突進を紙一重でかわすと、すれ違いざまに奴の大きく開いた牙の中に雷神の石を放り込む!
バクンッ! 噛み付きが空振りに終わった奴は勢いでそのまま石を飲み込んだ!

バチッ! バチバチィ!! バリバリバリィッッ!!

どうだ! やったか!?
魔力で変化した魔獣に効くかどうか賭けであったが、それなりの効果はあったようだ。
牙の隙間からブスブスと煙をもらしながら、マンティコアは憎々しげにこちらを振り返る。
闘志は未だ健在の様子だが、その身を支える四肢にわずかな震えが来ているのを見逃す俺ではない。
敵は確実に弱っている! 復活する前に一気に畳みかけろ!

【雷神の石】をひとつ減らす事。
電撃で痺れたマンティコアは大きくその力が鈍る。
よって今後、マンティコアから強烈な一撃を受けても【そのダメージは1段階威力を弱めたものとして処理してよい】。
自分の状態が【無傷】なら【軽傷】で、【軽傷】でも【重傷】で踏み止まれる。
以上の条件を忘れずによく覚えておき、改めて最後の敵、マンティコアと対峙せよ!

→薙斧で攻撃するなら 28へ
→豪水龍の召喚魔法を放つなら 29へ

 

 

 

 

 

 

31

パシュンッ!

気の抜けた破裂音と共に、火球は跡形もなく消え去った。
な…… 何だったんだ今のは……
気付けば薙斧の刃先が今や強く激しく白銀に光り輝いている。もしやこれが……?
もう一度、今度は意識的に火球を斬り払う。やはり一瞬で消滅した。
間違いない、こいつは魔力を完全に無効化する神具級の武器だったのだ!
あのオヤジ…… これで金貨6枚なんてとんだ目利きもいたものだ?!

完全に形勢は逆転した。俺はゆっくりと奴との距離を詰めていく。
パシュッ! パシュン!
火の粉を払うがごとく、マンティコアの火球を軽々と消し去り、近づく。
後は追い詰められ、苦し紛れに飛び掛かって来た奴の喉笛を一突きするだけで勝負は決した。

ドサリ!!
白目を剥いて倒れ落ちるマンティコア。
シュウシュウと紫の煙が立ち昇り、その体も徐々に縮んでいく。
やがて元の呪術師の形に戻ったかと思うと、真っ黒な消し炭となり崩れ果てた。

急に全身から力が抜けていく感覚に襲われ、たまらず膝をつく。
む? な、何だ…… 足が……、力が、入らん……
どうやらこの神具、力の発動に持ち主の多大な生命力を要する類のものだったらしい。
長柄を支えに立ち上がろうとするも、今度はその柄すらも腐った木の様にボロボロと崩れてしまう。
むぅ、しかも一度きりだったとは……

だがいい。俺は勝った! 間違いなく……勝ったのだ!
これこそが俺の道! 戦いの中でしか生きられぬ俺の……俺の生きる証!!
強敵を相手に久々に全力を出しきった俺は今、これ以上ない程の大きな満足感に包まれていた。

→このままこの地を後にするなら 38へ
→まだやり残した事があるなら 34へ

 

 

 

 

 

 

32

ボウンッッ!!!
ぐわぁあぁああ!!!

今度こそ俺は黒紫の火球に包まれた!!
皮膚だけでなく、内なる魂まで一瞬で焼き尽くされん程の凄まじい紫蓮の魔炎!!
まだ傷を負ってない無傷の状態でさえ【重傷】になる程の強烈な一撃を俺は受ける!
この攻撃はたとえ軽傷であっても一気に死亡まで達する二段階の大ダメージだ!
ここで踏み止まれなければ俺の冒険はここまでとなる。残念だが本を閉じる事。

辛うじてまだ戦えたとしても、なおも消えぬ魔炎にその身を焼かれ続け、もはや立つ事すらままならない。
たてがみの業火を収め、勝利を確信したマンティコアが不気味に口元を歪めじわりじわりと近づいて来る。

俺にはまだ、最後の奥の手が残されているだろうか。
どちらの打つ手もなければこのまま奴に喰われる他に道はない。
その場合でも俺の冒険はここまでだ。残念だが本を閉じる事。

→豪水龍の召喚魔法を放つなら 29へ
→雷神の石を使うなら 33へ

 

 

 

 

 

 

33

すっかり警戒を解いたマンティコアが悠々と近づいて来る。
まだだ…… あと、あと少し……
燃え続ける魔炎の苦しみに持って行かれそうになる意識を懸命に保ちつつ、床に伏しながら最後のチャンスをじっと俺は待った。
やがて俺の手の届く距離まで来たマンティコア。
俺が身動きひとつしなくなったのを確信すると、勝利の咆哮を上げ敗者を喰い殺さんとその凶悪な牙をがばりと開いた! 今だッッ!!

ガツンッ!
右手に隠し持っていた雷神の石を床に叩きつけ奴の牙の奥へと放り込む!
バリバリバリィィッッ!!!
思わぬ反撃に奴は一瞬だがたじろぐ!
だが、その一瞬で充分ッ!!
倒れたまま左腕一本だけで鋭く薙斧を突き上げ、俺は奴の喉笛を深々と突き破る!!

ズンンッッ!!!
GYAoowooww!!!!!

断末魔の叫びを上げ奴は悶え狂う!
喉元からボタボタと紫の血を流しつつ、白目を剥きドサリと倒れ落ちた!
シュウシュウと紫の煙が立ち昇り、その体も徐々に縮んでいく。
やがて元の呪術師の形に戻ったかと思うと、真っ黒な消し炭となり崩れ果てた。

ハァ……ハァ……ハァッ……ぐぅっ…… 
奴の死と共にようやく俺の体からも魔炎が消滅する。
だが、もはや体には少しの力も入らずとても起き上がる事ができない。
筋肉という筋肉が悲鳴を上げているのがわかる。
焼け焦げた皮膚の痛みも未だ収まりはしない。

だが、そんな痛みすら今は心地よく感じていた。
俺は勝った……間違いなく……勝ったのだ!
これこそが俺の道! 戦いの中でしか生きられない俺の……俺の生きる証!!
強敵を相手に久々に全力を出し尽くした俺は今、これ以上ない程の大きな満足感に包まれていた。

→このままこの地を後にするなら 38へ
→まだやり残した事があるなら 34へ

 

 

 

 

 

 

34

そうだ、まだ、終わりでは、ない……
お、俺は……目的を果たす為に、ここへ来たのだ……
ここまで来て、無駄足だったとは言わせん…… 絶対に、言わせんぞ……

気力を振り絞ると、震える足で立ち上がり、懸命に辺りを見渡す。
何処だ…… いったい何処なんだ……!

→【首飾り】を持っているなら 35へ
→持っていないなら 36へ

 

 

 

 

 

 

35

……ギャァーァ! ギャァーァ! クエェーーッ!

そこには見るも無残に使い魔共に喰い散らかされた、哀れな生贄娘の残骸だったモノが転がっていた。
ぶちゅっ! えぐり抜いた娘の目玉を爪で潰し、どろどろと垂れる体液をじゅるじゅる旨そうに使い魔がすする。
体の肉も柔らかそうな部分は粗方が削ぎ取られ、かろうじて残った皮と骨も今や赤黒く乾いた血糊でべっとりと汚れきっていた。

ふん、だが俺が探しているのはあんなつまらんモノではない。
どの道死ぬ運命だった娘だ。生きていれば奴隷市にでも売り飛ばすつもりだったが、精々あの世で呪うがいいさ。
群がる使い魔共を適当に追い払い、娘の残骸も構わず踏み潰して目的の物を更に探して回る。

あれだあれだ! あれが呪術師が村から巻き上げたという財宝に違いない!
どれどれ……おぉ! こいつが噂のムーンダイヤモンドか!
この大きさ……この輝き…… 素晴らしい! 想像以上だ!
フフフ…… ガァーッハッハァーーッ!!

こうして俺は命懸けの戦いの甲斐あって、狙っていたお宝をごっそり手に入れる事ができた。冒険は大成功だ。
だが、たとえどんな大金であろうともこの俺をずっと同じ地に縛り付けておく事はできはしない。
血と戦いに飢えた俺は、更なる興奮、更なる高みを求めて、これからも放浪の旅を続けて行くのだ!

38へ

 

 

 

 

 

 

36

いた! あれが生贄の娘に違いない!
そこには鎖につながれた若い娘が横たわっており、主を失った使い魔共に今にも喰われんとしていた。
急いで駆け寄り使い魔共を追い払う。娘は……大丈夫だ! 生きている!

……こうして、俺は助けた娘と共に再びオアシスの村へと戻って来た。
無事だった姉に飛び付いて喜ぶ少年。涙を流して礼を言う爺さん。
だが、不思議な事にその場で心底喜んでいたのはその2人だけだった。
他の村人らの笑顔は誰もがどこか余所余所しく、そして助けられた娘本人でさえ、静かに浮かべる微笑みにはどことなく陰りが消えぬままだ。
どうしたのだ……? 何故皆もっと喜ばん……?
動揺する俺に対して、その理由は無慈悲にもすぐに突き付けられた。

「さぁさ皆の者! 生贄もこうして無事戻って来た! ならばとっとと儀式の準備を始めるのぢゃ! さぁほれほれ! 何をグズグズしておるか!」

遠くでしわくちゃの婆さんが杖を振りかざして、大声で村人らに指示を出していた。
あれが噂の性悪占いオババか。
村人らも皆バツの悪そうな顔に戻って黙々と生贄の儀式の準備を始めている。

……そうだった。では俺は、いったい何の為に戦ったというのだ……
せっかく助かった何の罪もない娘の命が、再び無意味に奪われんとするこの悲しき光景はいったい何なのだ!
命を賭けて戦った俺は、見ていて心の底からふつふつと怒りが込み上げて来る。
周囲の村人を手当たり次第に捕まえては、俺は懸命に訴え続けた。

おいお前ら! あんなのは全部迷信だ! ウソだ! 信じるな! 俺は聞いたぞ! 聞いたんだ!
おいスフィンクス! 見ているんだろう! 貴様も何とか言え!
……無視か! 人間の命なぞ何とも思わんというのか! 何が神だ! 薄情者め!

「……姉ちゃぁん、グスッ、姉ちゃぁぁぁんん……」

「ほらぁチコ…… もう泣かないの男の子でしょ。首飾り、ありがとね。姉ちゃんこれ付けて、スフィンクス様の所に行くね。これからはあんたが、みんなを守る強い男になんなきゃダメなんだからね。姉ちゃん、オアシスの水になって、ずっとあんたの事……見てるんだから、ね……」

くそうっ!!
俺にはこれ以上、もうどうする事もできないのか……!?

→悔しいが諦めるより他無い、静かにこの村を去ろう 38へ
→豪水龍の召喚魔法がまだ使えるなら 37へ

 

 

 

 

 

 

37

そうだ! ならばこれで……どうだァッ!!!

左手を天に向け高々と突き上げた!
全身を振り絞らんばかりに俺はリヴァイアサンを手の平から放出する!
突然起こったその光景に、周囲の村人らは皆、驚くばかり。
行け……行けッ! もっとだ! もっと昇れェェ!!!
俺の意志を汲み取った相棒は村の上空へと舞い上がるとグルグルとその場を飛翔し始めた。やがて……

……ポツ、ポツ、ポツポツ、

……ドザアアアアアアッッッ!!!

「あ……雨だわ!」

  「雨だ雨だ! やったやった!」

     「雨が降って来たぞぉ! 助かったんだぁ!」

待ちわびていた恵みの雨に、村人からどっと歓喜の声が上がる。
すかさず俺は全員に向かって出任せの台詞を吐いた。

「そうだ! この俺が雨を降らせたのだ! 我こそが本当の雨の神の使いなり!」

村人らは一斉に目を見張る。もはやそこには俺に対する疑いの色は微塵もなかった。
唯一あのオババだけが慌てふためいて何事か怒鳴り散らしていたが誰も耳を貸そうとはしない。
俺は叫ぶ。自分でもらしくないと自覚しつつも、精一杯の声を張り上げて村人らを諭した。

「雨の神は! この様な野蛮な儀式はもう望まれてはおらぬ! 今後はただ静かに祈りを捧げれば、それだけで我が主は、そなたらに永遠の恵みを約束せんと、そうおっしゃっておられるぞ!」

生贄の儀式はもう必要ない。そんな俺の救いの言葉を受けて今度こそ村人らは心からの笑顔を取り戻し、ワァッと娘を取り囲んだ。
すっかり村中が上を下にのお祭り騒ぎだ。
その時、ふと俺の頭の中にあのスフィンクスからの声が聞こえて来た。

『……ふん、下手な芝居を打ちおってからに…… だがここまで民の心を掴まれては、さすがの我も手出しはできぬな…… よかろう、これも神の流儀。口惜しいがお主の此度の働きに免じて、生贄を食らうのは我慢してやるとしよう……』

あの時に見た小さな猫が、後ろ足で俺に砂をひっかけて逃げていく。
そんな悔し紛れのつまらん幻を俺は一瞬見せられた、様な気がした。

「姉ちゃんっ!!」「チコ!!」

はっと我に返れば、向こうでは喜び抱き合う幸せそうな姉弟の姿が。
そうだ…… あれでいい。ただあの光景が見たくて、俺は戦ったのだ。
下り注いだ歓喜の雨のせいだけでは決してない、濡れじゃくった2人の頬を遠くから眺めながら、俺は静かにその場を立ち去る。
これ以上、余計な水を差すのも野暮だからな……

38へ

 

 

 

 

 

 

38

誰も知らない 教えちゃくれない
孤独の戦士が 誰なのか

何も言わない 話しちゃくれない
孤独の戦士が 誰なのか

人の世に愛あれど 人の世に夢あれど
ただ己の信念を 貫きたいだけ

今日も何処かで 孤独の戦士!
明日も何処かで 孤独の戦士!

≪終劇!!≫

 

 

 

 

 

【あとがきのようなもの】

 

ども、作者です。毎度お読み下さりありがとうございます。
シリーズ化にあたり、本作はあえて作品構造というかゲーム進行的な流れは毎回できるだけ変えないでやってみる事にしました。
むしろこのルーティンワークの中でどれだけ変化を付けられるかといったテーマを掲げ、自身の研鑽の場としていこうかとすら考えてたりもします。
まぁマンネリと言われればゴモットモですが、それでも地味にコツコツ改良を重ねてより良いものにしていくつもりですので、今後ともどうぞよろしくお付き合い下さいませ。
それではまた、次回作でお会いしましょう。