悪い魔法使いを相手にギャンブル勝負を挑むダイスゲームです。
サイコロと数字のメモが必須ですので、お手軽にとはいかないのはご了承ください。
無計画に進めるとコテンパンですが、ある程度のセオリーが掴めればそこそこの勝率で勝てるようになりますよ。それではどうぞ。

 

 

 

 

 

聖と魔のギャンブラー

 

作:緒方直人

 

 

 

 

 

 

「……判りました。本当ですね。私が勝ったらあなたの聖獣をお貸しいただけると」

あなたは魔法使いの出した提案に、意を決して応じた。

「ひょっひょっ、エェともエェとも。もちろん勝てたらな」

対する魔法使いはそんなあなたの真剣さが、さも滑稽だと言わんばかり。
さっきからずっとあなたに対して、ふざけた態度を崩さない。

「いかにもお姫さまらしい、良い度胸をお持ちじゃて。もっとも、それくらいでないとこちらもエサとして食わせ甲斐が無いでの。ひょっひょっ」

エサ。
そう、あなたはこれから自らの命を賭けた闇のゲームに挑むのだ。
あなたの祖国は今、圧倒的な力を誇る侵略軍によって滅亡の危機に瀕していた。
中でも敵の旗獣とも呼べる巨大なブラックドラゴンの力は凄まじかった。
防戦も虚しく我が軍は壊滅。
父国王は戦死、兄王子も敵の手に落ちて処刑されたと聞く。
戦乱の中でなんとか城を脱出できた王族は、あなただけであった。
僅かな御付きの者たちに守られつつ、宛てもなく逃げ惑っていたあなたは、やがてあの黒竜にも匹敵する力を持った神秘の聖獣がいるとの噂を聞きつける。
そうしてあなたは、藁にもすがる思いでこの怪しげな魔法使いの根城へやってきたのだ。

「そんじゃさっそく始めるとするぞ。ホレ、着いて来んか」

あなたたちは魔法使いに案内され、とある洞窟の奥へと移動した。

2へ

 

 

 

 

 

 

行き着いたのは半円形をした、かなり広めの空洞だった。
その岩壁にはぐるりと沿って、鉄格子が6つも並んで取り付けられていた。
どれもが檻のようだが、その奥は暗く何が潜んでいるかはよく見えない。

「では、ゲームの前にお前さんがエサとなってくれる、我がカワイイ魔獣ちゃんをご紹介しとこうかの」

ガシャン!
一番右の檻が開き、中からは痩せ細った黒い大トカゲが弱々しく這い出して来た。
あなたに近付こうとする大トカゲに、御付きの近衛兵が剣を向けた。
それだけで弱々しく魔法使いの後ろに逃げ隠れる、大トカゲ。
キーキーと甲高い鳴き声を発しつつ、あなたに向かって精一杯の威嚇を続けている。
あれが……魔獣?
確かに大きい事は大きいが、あんな細い体にそれほどの恐ろしい力があるとは思えないが。

「おうおう、待っとれ待っとれ。あやつは最後のデザートじゃ。その前にはまず肉じゃな、肉。お前は肉をたらふく食って、早う体をデカく強くせんといかん」

魔法使いはすり寄ってくる大トカゲを愛おしそうに撫でる。

「お前も兄たちのような立派な魔獣になっとくれよ。そして今度も、ワシの為にうんと高ぁく買ってもらうんじゃぞ。ひょっひょっ」

大トカゲを撫でながら、魔法使いがあなたを向いて下卑た笑いを浮かべる。
その瞬間、あなたの中であの痩せ細ったトカゲの顔に、忘れもしないブラックドラゴンの凶悪な顔が重なった。
黒いトカゲ……売れる……黒い……ドラゴン!
ハッとしたあなたは怒りに震えた。
まさかこの魔法使いが、あの憎きブラックドラゴンを敵国に!

「ハテ何の事かのぉ。ワシはただの隠遁暮らし。浮世の騒ぎにはトンと疎くての」

煮えたぎる憎しみを押さえ、あなたは深呼吸をして何とか気を静める。
ここで激高して無謀な仇討ちに走ったところで、おそらく勝ち目は無いだろうし何より肝心の聖獣が手に入らない。
今は何としても聖獣を連れて戻るのが、最後の王族としてのあなたが背負う責務だ。
その唯一の道が、何の保証も無い、ただの口約束に過ぎないものだったとしても。

「……本当に、本当にこの私にあなたは聖獣をお貸し下さるというのですね?」

「シツコイのぉ。騙すつもりならとっくにお前さんなぞ魔法で捕まえとるわい。ワシはただのゲーム好きの善良なジジィじゃよ。面白いゲームさえできればどこの国が負けようが勝とうが知ったことではないわい。何処へでも聖獣を連れて、好きにするとエェ」

あなたの胸の内の葛藤を知ってか知らずか、魔法使いはパンパンと空々しく手を叩いた。
すると大勢の手下の小鬼が空洞になだれ込み、小ぶりの樽のような物をいくつも運んできた。

「これらはな、ワシが作った中身がコロコロ替わる魔法の樽じゃ。こいつをよーく振って蓋を開けるとあーら不思議♪ 中に入れた物がランダムで別の物に変化するんじゃよ。見とれ」

魔法使いがおもむろに1つの樽の蓋を開けて中身を見せた。
中には野菜がぎっしりと詰まっている。
その樽を今度は小鬼たちに担がせ振らせた後で、もう一度蓋を開けてみる。
すると中に詰まっていたのは、今度は野菜ではなく並々と入った酒だった。

「どうじゃ、大したモンじゃろう。そんじゃいよいよこのゲームのルール説明といこうか」

あなたは一言一句聞き漏らすまいとじっと耳を傾ける。

「これからあの残り5つの檻を全部開ける。中には4匹の様々な魔物と、お前さんお目当ての聖獣が鎖につながれておるぞい。今からワシとお前さんは、交互にその魔物らにエサを与え合い、力を付けさせ鎖から解き放っていくというのがこのゲームの内容じゃ。無事に聖獣を解放できればお前さんの勝ち。その前にワシの魔獣ちゃんがお前さんにガブリと行けばワシの勝ちじゃ。判り易くていいじゃろう?」

「ワシが用意したこれら樽の中身は、そのどれもが奴らの好物となるエサじゃ。中身の種類は6つ。酒、野菜、麦、魚、肉、そして果物。これらをゲームで使う手札として、今からワシとお前さんに最初6つずつを配ろう」

「魔物らには皆それぞれに好みのエサが違う。酒が好きな奴、魚が好きな奴と色々じゃ。中でも肉を好んでガツガツ食らうのが、我が愛しの魔獣ちゃんよ。今はこのように非力じゃが、すぐにそこの兵隊どもなぞモノともせんほど強くデカくなるぞい。お前さんもぜいぜいその成長に協力してやってくれよ。ひょっひょっ」

「で、お前さんお目当ての聖獣のエサじゃがな。こいつだけはちと厄介な拘りがあってのー。好みは特に無く何でも食うんじゃが、必ず決まった順番でしかそれらを食おうとはせんのじゃ。まず最初は酒、次が野菜、そして麦という具合に、お前さんらがいつも食い馴れとるじゃろう、宮廷のコース料理みたいな感じでな」

「魚、肉と来て、最後に果物を平らげさせられれば、悔しいがゲームはお前さんの勝ちじゃ。腹いっぱいになった聖獣はつながれた鎖を引きちぎり、お前さんの味方となって存分に働いてくれるじゃろうて」

「もちろん聖獣以外の魔物を解放させても、ちゃんとエェ事はあるぞ。魔獣ちゃんの襲撃から、お前さんを守る味方となってくれるんじゃ。ただし、味方になるのは解放時の最後にエサをくれてやった方にだけじゃぞ。もちろんそれがこのワシという場合もある。誰がどれだけ多く与えたかは関係ない。あくまでこの一番最後に与えた側というのが、ゲーム攻略のポイントじゃ」

「さてさて、そのエサを与える前にやらにゃいかんのが、一度は全部の樽を振って中身を変化させてから開けねばならんというルールじゃ。互いにこの部屋の中央まで樽と共に移動して、そこで初めて蓋を開け中身を確認してもらう。それらの樽の中に魔物らが好むエサが入っておれば、その匂いをかぎつけた奴らはまっしぐらにその樽のある中央まで食いに向かって来るじゃろう。鎖の長さはどれも、中央までは余裕で届く長さに調節してあるでの」

「一応言うとくが、そうなってから慌てて蓋を閉めても遅いぞ。お預けを食らった魔物は怒り狂って、代わりにお前さんの方にガブリと来るじゃろうからな。もちろんワシの時も例外ではない。だから出たそのエサは潔く諦めて、奴らに食わせてやるしかない。そうすりゃ魔物がエサに食い付いて夢中になっとるその隙に、お前さんは残った樽の蓋を閉めて、もう一度振り直して開けるか、それとも全部を担ぎ上げて自分の番を引き上げるかを選べばエェ」

「そうそう、その特別ルールも説明せんといかんな。よいか、エサをいずれかの魔物に与えて樽を1つ以上失った者は、その場で続けてもう一度、残った樽を振り直して中身を入れ変えても良いというラッキーなチャンスが得られるのじゃ。続けて当たれば一発逆転も夢じゃない♪ とな」

「あぁそれと最後にもう1つあった。エサの樽が少なくなってきた時には、自分の番をパスすると宣言すれば代わりにこのワシからエサの樽を2つもサービスで補充してやるぞ。エサが無くなってゲームオーバーなんてのは、こちらも大いに白けるからのぅ」

「まぁざっと以上じゃ。せいぜいこのワシを退屈させないだけの、エェ勝負をしてみせてくれよ。ひょーっひょっひょっ♪」

3へ

 

 

 

 

 

 

「ではそろそろ始めようか。まずはお前さんからじゃ。そこの6つの樽、全部を思いっきり振ってから開けてみい」

あなたはさっそく御付きたちに頼み、6つの樽全てを振らせる。
その間にあなたは、もう一度魔法使いの言ったルールについて整理してみた。
それではここで改めて、その闇のゲームのルールについてもう一度詳しく説明する。

※※※ ルール説明 ※※※

@あなた(姫):エサの数6、戦力100
 悪い魔法使い:エサの数6、戦力  0 の状態からスタート
 ゲーム中、魔物の解放によって互いの戦力は変化していく
 魔法使いの戦力があなたの戦力を上回ってしまった時点でゲームオーバーとなる

@本作では樽を振るという行為は、サイコロによるダイスロールで行われる
 サイコロは1個だけでもプレイ可能だが、6個あればなお望ましい

@魔物(聖獣や魔獣)には、解放度としてそれぞれに解放まで必要なエサの種類と数、そして解放した側に加算される戦力の3つがある
 解放度はエサを与えればその分埋まっていくが、埋めていく順番は必ず一番左側のものからとすること
 (特に聖獣は与えられるエサの順番と種類が決まっているので注意)

@あなた→魔法使いの順で、必ず現在残っているエサの数だけ交互にサイコロを振りあう
 出たサイコロの目を見て、対応表からエサの中身を確認
 魔物(または聖獣や魔獣)が好むエサが出れば、必ず自分を守るために1つは与えなければならない

@解放度が全て埋まってMAXになった魔物は、必ず最後にエサを与えた側に味方に付く
 対応する戦力を、解放させた側にプラスすること
 (下の一覧表を参照)

※サイコロの目・対応表

≪①酒 ②野菜 ③麦 ④魚 ⑤肉 ⑥果物≫

※魔物(聖獣や魔獣)の解放度とその戦力

①②③④⑤⑥         ≪聖獣≫ 

①        『ノーム:戦力 10』
②②     『ユニコーン:戦力 20』
③③③    『コカトリス:戦力 40』
④④④④  『クロコダイル:戦力 80』

❺❺❺❺❺❺    【魔獣:戦力  0】
 『解放度1つアップにつき:戦力+20』
 

@例として、あなたが最初のターンに出した「酒(①)」は、聖獣かノームのどちらに与えるかをあなたが自由に選べる
 逆に「果物(⑥)」は、聖獣が他の5つのエサを食べ終わるまでずっと出番は無い

@例外として魔獣は最初から解放されており、魔法使い側に付いている
 魔獣の戦力は最初ゼロだが、エサである「肉(⑤)」を食べて解放度が埋まった分だけその強さは増していく
 その場合は文中の指示に従って、魔法使いの戦力をプラスすること

@サイコロを振り1つでもエサを魔物に与えられたら、その場で再び残ったエサの数だけサイコロを振り直しても良いチャンスを得る
 (もちろん任意なので、振らずにそのまま自分のターン終了を宣言しても構わない)
 このチャンスは続けてエサが与えられる限り、何度でも繰り返して得られる

@与えられるエサがひとつも出なかった、もしくは自分でターン終了を宣言した時点でそのターンは終了
 相手側へとターンは移る

@自分のターンを飛ばす代わりにエサの数を2つ回復できる
 ただし最大6つを越えては増やせない

@無事に聖獣の解放度をMAXまで上げられればあなたの勝ち
 その前に魔法使いの戦力があなたの戦力を上回るか、魔獣の解放度がMAXに達してしまえばあなたの負け
 あなたは守りを敵に突破され、魔獣に食べられてしまう

慣れるまではここのルール説明を別にコピペするなどして、何度も見返しながら進めると良いだろう。
では準備ができたら、あなたのターンからゲームをスタートせよ。

4へ

 

 

 

 

 

 

あなたのターンだ。
ここでは現在のあなたが持つエサの数だけ、サイコロを振ること。
これが最初のターンならば、その数は6つだ。

※サイコロの目・対応表

≪①酒 ②野菜 ③麦 ④魚 ⑤肉 ⑥果物≫

※魔物(聖獣や魔獣)の解放度とその戦力

①②③④⑤⑥         ≪聖獣≫ 

①        『ノーム:戦力 10』
②②     『ユニコーン:戦力 20』
③③③    『コカトリス:戦力 40』
④④④④  『クロコダイル:戦力 80』

❺❺❺❺❺❺    【魔獣:戦力  0】
 『解放度1つアップにつき:戦力+20』
 
 
出たサイコロの目に対応するエサの状況を確認して、該当する(もしくは選べる)選択肢へと進もう。
ただし、既に解放されてしまっている魔物にはもうエサは与えられない。

→エサにできる中身がひとつも出なかったのなら 5へ
→エサにできる中身が「肉(⑤)」しか出なかったのなら 6へ
→「聖獣が次に食べるエサ」が出たので聖獣に与えるなら 7へ
→「酒(①)」が出たのでノームに与えるなら 8へ
→「野菜(②)」が出たのでユニコーンに与えるなら 9へ
→「麦(③)」が出たのでコカトリスに与えるなら 10へ
→「魚(④)」が出たのでクロコダイルに与えるなら 11へ

 

 

 

 

 

 

あなたが出したエサに興味を示す魔物は1匹もいなかった。
とりあえず命の危険は無かったが、エサを1つも与えられなかったのであなたはこれでターンを終了しなければならない。

「どれ、次はワシの番じゃな」

引き下がったあなたと入れ替わり、今度は魔法使いが樽を抱えた小鬼と共に部屋の中央へと移動する。

14へ

 

 

 

 

 

 

しまった!
肉以外に他の魔物のエサになりそうなものが無い!
邪魔者が誰も来ないのを見計らうと、魔獣はあなたが出した肉の樽へと飛び付いた。
すごい勢いで樽ごとかじり破り、中身を食らい尽くしていく。
【※魔獣の解放度を1つ埋め、あなたのエサの数を1つ減らすこと】

「ひょっひょっありがたいのう。魔獣ちゃん、ホレ恩返しじゃ!」

見る見るうちに、魔獣はその体躯の大きさを増していった。
【※魔獣の戦力20を魔法使いの戦力にプラスすること】

これで魔法使いの戦力はあなたの戦力を上回ってしまっただろうか。同点ならばまだセーフだ。

→これで魔獣の解放度がMAXになってしまったのなら 26へ
→魔法使いの戦力が上回り、あなたの守りが突破されてしまったのなら 13へ
→あなたのエサの数がゼロ、もしくはこれでターンを終了するなら 14へ
→エサを与えたのでもう一度残った樽を振り直すなら 4へ

 

 

 

 

 

 

運良く聖獣が次に食べるエサを出すことができた。
聖獣はのっそりとその巨体を起こすと、こちらへ近付いて来た。
バクン!
樽を咥え上げ、一口で飲み込んでしまった聖獣は満足げにあなたに向かって頷く。
【※聖獣の解放度を1つ埋め、あなたのエサの数を1つ減らすこと】

聖獣の解放に必要なエサの数は6つだ。
最後の「果物(⑥)」も与え終わり、聖獣の解放度がこれでMAXになったのならば、必ず27へ
と進むこと。

まだならば残ったエサの状況を確認して、次の選択肢を選ぼう。
ただし、既に解放されてしまっている魔物にはもうエサは与えられない。

→あなたのエサの数がゼロ、もしくはこれでターンを終了するなら 14へ
→まだ「聖獣が次に食べるエサ」があるので続けて聖獣に与えるなら 7へ
→まだ「酒(①)」があるのでノームにも与えるなら 8へ
→まだ「野菜(②)」があるのでユニコーンにも与えるなら 9へ
→まだ「麦(③)」があるのでコカトリスにも与えるなら 10へ
→まだ「魚(④)」があるのでクロコダイルにも与えるなら 11へ
→エサを与えたのでもう一度残った樽を振り直すなら 4へ

 

 

 

 

 

 

トテトテと走って来たノームが喜んで樽に飛び付く。
あっという間に酒を飲み干し、樽をも壊してペロペロと木枠に着いた分まで全部舐めとってしまった。
【※ノームの解放度を1つ埋め、あなたのエサの数を1つ減らすこと】

ノームは樽1個分の酒で満足する。
鎖を引きちぎったノームはニッコリ笑うと、あなたを守る盾となってくれた。
【※ノームの戦力10をあなたの戦力にプラスすること】

残ったエサの状況を確認して、次の選択肢を選ぼう。
ただし、既に解放されてしまっている魔物にはもうエサは与えられない。

→エサの数がゼロ、もしくはこれでターンを終了するなら 14へ
→まだ「聖獣が次に食べるエサ」があるので聖獣にも与えるなら 7へ
→まだ「野菜(②)」があるのでユニコーンにも与えるなら 9へ
→まだ「麦(③)」があるのでコカトリスにも与えるなら 10へ
→まだ「魚(④)」があるのでクロコダイルにも与えるなら 11へ
→エサを与えたのでもう一度残った樽を振り直すなら 4へ

 

 

 

 

 

 

喜んで樽に飛び付いたユニコーン。
あっという間に樽を壊して野菜を全部食べ尽くしてしまった。
【※ユニコーンの解放度を1つ埋め、あなたのエサの数を1つ減らすこと】

ユニコーンの解放に必要なエサの数は2つだ。
これでユニコーンの解放度がMAXになったのならば、ユニコーンは鎖を引きちぎってあなたの元へとやってくる。
頬をすり寄せると、ヒヒンと一声勇ましくいなないた。
その場合は【※ユニコーンの戦力20をあなたの戦力にプラスすること】

残ったエサの状況を確認して、次の選択肢を選ぼう。
ただし、既に解放されてしまっている魔物にはもうエサは与えられない。

→エサの数がゼロ、もしくはこれでターンを終了するなら 14へ
→まだ「聖獣が次に食べるエサ」があるので聖獣にも与えるなら 7へ
→まだ「酒(①)」があるのでノームにも与えるなら 8へ
→まだ「野菜(②)」があるので続けてユニコーンに与えるなら 9へ
→まだ「麦(③)」があるのでコカトリスにも与えるなら 10へ
→まだ「魚(④)」があるのでクロコダイルにも与えるなら 11へ
→エサを与えたのでもう一度残った樽を振り直すなら 4へ

 

 

 

 

 

 

10

喜んで樽に飛び付いたコカトリス。
あっという間に樽を壊して麦を全部食べ尽くしてしまった。
【※コカトリスの解放度を1つ埋め、あなたのエサの数を1つ減らすこと】

コカトリスの解放に必要なエサの数は3つだ。
これでコカトリスの解放度がMAXになったのならば、コカトリスは鎖を引きちぎってあなたの元へとやってくる。
クエェェッと勇ましい鳴き声を上げると、あなたを守るようにその翼を広げた。
その場合は【※コカトリスの戦力40をあなたの戦力にプラスすること】

残ったエサの状況を確認して、次の選択肢を選ぼう。
ただし、既に解放されてしまっている魔物にはもうエサは与えられない。

→エサの数がゼロ、もしくはこれでターンを終了するなら 14へ
→まだ「聖獣が次に食べるエサ」があるので聖獣にも与えるなら 7へ
→まだ「酒(①)」があるのでノームにも与えるなら 8へ
→まだ「野菜(②)」があるのでユニコーンにも与えるなら 9へ
→まだ「麦(③)」があるので続けてコカトリスに与えるなら 10へ
→まだ「魚(④)」があるのでクロコダイルにも与えるなら 11へ
→エサを与えたのでもう一度残った樽を振り直すなら 4へ

 

 

 

 

 

 

11

喜んで樽に飛び付いたクロコダイル。
あっという間に樽を壊して魚を全部食べ尽くしてしまった。
【※クロコダイルの解放度を1つ埋め、あなたのエサの数を1つ減らすこと】

クロコダイルの解放に必要なエサの数は4つだ。
これでクロコダイルの解放度がMAXになったのならば、必ず12へ
と進むこと。

まだならば残ったエサの状況を確認して、次の選択肢を選ぼう。
ただし、既に解放されてしまっている魔物にはもうエサは与えられない。

→エサの数がゼロ、もしくはこれでターンを終了するなら 14へ
→まだ「聖獣が次に食べるエサ」があるので聖獣にも与えるなら 7へ
→まだ「酒(①)」があるのでノームにも与えるなら 8へ
→まだ「野菜(②)」があるのでユニコーンにも与えるなら 9へ
→まだ「麦(③)」があるのでコカトリスにも与えるなら 10へ
→まだ「魚(④)」があるので続けてクロコダイルに与えるなら 11へ
→エサを与えたのでもう一度残った樽を振り直すなら 4へ

 

 

 

 

 

 

12

鎖を引きちぎったクロコダイルはあなたではなく、奥に下がった魔法使いの方へと向かった。
まさかと心配したが、太い尻尾を器用に振り回してクロコダイルは小鬼たちを蹴散らしていく。
やがて小鬼たちが抱えた予備の樽を1つ奪うと、クロコダイルは悠々とあなたの元へと戻って来てくれた。
【※あなたのエサの数を1つ増やすこと】

「ありがとう。お優しいのですね」

あなたはその綺麗なドレスが汚れるのも構わずに、この武骨なナイトに感謝のキスをした。
ナイトはビタンビタンと尻尾を振り、あなたへの忠誠を示した。
【※クロコダイルの戦力80をあなたの戦力にプラスすること】

残ったエサの状況を確認して、次の選択肢を選ぼう。
ただし、既に解放されてしまっている魔物にはもうエサは与えられない。

→エサの数がゼロ、もしくはこれでターンを終了するなら 14へ
→まだ「聖獣が次に食べるエサ」があるので聖獣にも与えるなら 7へ
→まだ「酒(①)」があるのでノームにも与えるなら 8へ
→まだ「野菜(②)」があるのでユニコーンにも与えるなら 9へ
→まだ「麦(③)」があるのでコカトリスにも与えるなら 10へ
→エサを与えたのでもう一度残った樽を振り直すなら 4へ

 

 

 

 

 

 

13

戦力を増した魔法使い側の勢いを止められない!
最後まで勇敢に戦ってくれた近衛兵も倒れ、とうとうあなたを守る者は誰もいなくなってしまった。
真っ赤な舌をちょろちょろと出し入れしながら、魔獣がじりじりとあなたに近付いてくる。
恐怖でへたり込んでしまったあなたに、魔獣の大きく開いた口から伸びる無数の牙が迫る……

あなたは闇のゲームに勝てなかった。
魔獣は自分の血肉で完全なるブラックドラゴンへと変化を遂げ、余所の国へと売られていくのだろう。
それであの憎き魔法使いは大金をせしめて高笑いをし、どこかの平和な国がまたも無残にも討ち滅ぼされていくのだろう。

あなたは消えゆく意識の中で涙し、そして悔いた。
せめて、せめてと魂が天に召される前に願う。
次なる闇のゲームに挑みし者が自分の代わりに今度こそ、この忌まわしき輪廻を断ち切ってくれることを……

≪BAD END≫

 

 

 

 

 

 

14

□□□□□□

この番号に来たら、上にある□にチェックを1つずつ入れていくこと。
チェックの数が下の数に達した場合、必ずその番号へと進むこと。

→チェックが1つになったなら 17へ
→チェックが6つになったなら 25へ

該当するものが無ければこのままゲームを続けよ。
次は魔法使いのターンだ。
だがその前に、現在の魔法使いのエサの数を確認せよ。

→まだ3個以上残っているなら 16へ
→2個以下まで減っているなら 15へ

 

 

 

 

 

 

15

「おお、ずいぶんと樽が減ってしもうたな。おーい小鬼ども、樽のおかわりじゃ!」

後ろに控えた小鬼たちが予備の樽をドカドカと魔法使いの前に置いていく。
だがそれは2つどころではない。
なんとそのまま魔法使いの樽は、この1度で6つにまで増やされてしまった。
【※魔法使いのエサの数を6にまで戻すこと】

「おいおいお前ら気を効かせ過ぎじゃぞ。全くしょーがないのう♪ うひょひょひょ」

あれが魔法使いの指示なのは、誰がどう見ても明らかだ。
だが、いくらあなたがそうやって抗議しても、魔法使いはどこ吹く風だった。
全てはあの魔法使いが用意した、この闇のゲーム。
公平にジャッジしてくれる存在など、はなから何処にも居はしないのだ。
あなたは悔し涙を堪え、ゲームを続ける。

19へ

 

 

 

 

 

 

16

魔法使いのターンだ。
ここでは魔法使いの分のサイコロも、あなたが代わりに振る。
現在残った魔法使いのエサの数だけ、サイコロを振ること。

※サイコロの目・対応表

≪①酒 ②野菜 ③麦 ④魚 ⑤肉 ⑥果物≫

※魔物(聖獣や魔獣)の解放度とその戦力

①②③④⑤⑥         ≪聖獣≫ 

①        『ノーム:戦力 10』
②②     『ユニコーン:戦力 20』
③③③    『コカトリス:戦力 40』
④④④④  『クロコダイル:戦力 80』

❺❺❺❺❺❺    【魔獣:戦力  0】
 『解放度1つアップにつき:戦力+20』

 
魔法使いは当然自分に有利なようエサを選ぶので、あなたの好きには選べない。
ここでは選択肢の上から順に、該当する選択肢があれば必ずそちらへと進むこと。
ただし、既に解放されてしまっている魔物の分は飛ばして判断する。

→エサとなる中身がひとつも出なかったのなら 19へ
→「肉(⑤)」が1つ、もしくは複数個出たなら 20へ
→「魚(④)」がクロコダイルを解放できる数だけ出たなら 21へ
→「麦(③)」がコカトリスを解放できる数だけ出たなら 22へ
→「野菜(②)」がユニコーンを解放できる数だけ出たなら 23へ
→「酒(①)」が出て、まだノームが解放されていないのなら 24へ

ここまでで該当するものが1つも無ければ、必ず18へ
と進むこと。

 

 

 

 

 

 

17

魔法使い初手のエサは「聖獣が次に食べるエサ」と「肉(⑤)」、残りは全て果物だった。
魔獣はすごい勢いで、肉の樽をかじり破って中身を食らい尽くしていく。
【※魔獣の解放度を1つ埋め、魔法使いのエサの数を1つ減らすこと】

それでも聖獣のエサも出たのは幸いだ。これで解放が1つ早まるはず。
しかし、そんなあなたの期待に反して聖獣は檻から出てきてはくれなかった。
奥でじっと伏せながら、肉を食らう魔獣を恨めしそうに見ている。
どうしたの? 食べに出て来てくれるんじゃなかったの?

「食事中の獣に近付くのがどれだけ危険か知らんとみえるのぉ、お姫さん」

魔法使いが困惑するあなたの心を見透かしたかのようにつぶやく。

「エサを横取りされまいと他の魔物に睨みを効かす、あの魔獣ちゃんの血走った眼を見るがいい。例え無敵の聖獣だろうと関係ない。窮鼠猫を噛むという言葉もあるように動物は皆、よほど腹ペコでもない限り他者との無用な争いは避けるものじゃよ」

……なるほど判った。
つまり2つ以上のエサが出ても、必ずしもそれら全てを与えてやる必要は無かったということか。
そんなルールまでは聞いていなかったはずだが。

「おや言っとらんかったかの? まぁそういう事じゃから♪ もちろん食わせてやりたけりゃ、お前さんらが自分で樽を魔物の近くまで転がしてやればエェ。そうすりゃ奴らも安心して食うぞ」

※※※ルール捕捉※※※

@魔物の好みのエサが2種類以上出た場合、自分を守るために消費するのはその内1つだけで構わない
 与えたくないエサが出たとしても、その場合になら回避が可能
 ただし自分が有利と判断すれば他の魔物に与えるのも自由

あなたはこの新たなルールを肝に銘じた。
ともあれエサを与えたこのターン、魔法使いは続けて樽を振ってくるはずが意外にも、これで樽を引っ込めさせた。

「初回からボコボコに畳み掛けて一方的に勝ってはゲームとして興ざめじゃろ? ワシはいつもこうして自分の最初の番の樽振りは、ハンデとして1度だけで勘弁してやると決めておる。どうじゃワシってジェントルマンじゃろ? ひょっひょっ」

やがて肉を食らい尽くした魔獣の様子にあなたは驚く。
痩せ細っていたはずの魔獣の体躯が、あっという間に大きく膨れ上がっていた。
先ほど魔法使いが言っていたパワーアップとは、この事だったのか。
【※魔獣の戦力20を魔法使いの戦力にプラスすること】

これで魔法使いの戦力はあなたの戦力を上回ってしまっただろうか。同点ならばまだセーフだ。

→これで魔獣の解放度がMAXになってしまったのなら 26へ
→魔法使いの戦力が上回り、あなたの守りが突破されてしまったのなら 13へ
→まだ解放度も守りも残っていれば魔法使いはこれでターン終了を宣言する 19へ

 

 

 

 

 

 

18

魔法使いは出たエサの中から1つだけを渋々魔物に与えた。
ここでは解放度の残り具合を比較して、まだ最も多く残っている魔物にだけ、出たエサを1つ与えよ。
数が同点だった場合は、選ばれる優先順位は戦力の弱い順に「①ユニコーン②コカトリス③クロコダイル④聖獣」の順となる。
【※エサを与えた魔物の解放度を1つ埋め、魔法使いのエサの数を1つ減らすこと】

→これで聖獣の解放度がMAXになったなら 27へ
→これで魔法使いのエサの数がゼロになったなら 19へ
→まだ解放度もエサも残っていれば魔法使いは次も肉を狙って樽を振る 16へ

 

 

 

 

 

 

19

「どれ、では次はお前さんの番じゃぞ。どうするかね、このまま樽を振るかね」

魔法使いのターンが終わり、次はあなたのターンだ。
このまま現在のあなたのエサの数だけサイコロを振るか、それともここでエサの数を2つ回復してもらうかを決めよ。
現在のあなたのエサの数がゼロならば、今回は必ず回復に専念しなければならない。

→このまま樽を振るなら 4へ
→回復するなら現在のあなたのエサの数を2つ増やして 14へ

 

 

 

 

 

 

20

魔法使いは大喜びだ。場に出た肉を全て魔獣へと与える。
すごい勢いで魔獣は肉を片っ端から食らい尽くしていく。
【※魔獣の解放度を与えたエサの数だけ埋め、魔法使いエサの数をその分減らすこと】

「よーしよしよし、たらふく食うんじゃぞ魔獣ちゃん♪ どれ、これでそろそろ勝負あったかの?」

魔獣は肉を食いちぎり飲み込む度に、その体躯の大きさを増していく。
【※魔獣の戦力(20×与えたエサの数)を魔法使いの戦力にプラスすること】

これで敵の戦力はあなたの現在の戦力を上回ってしまっただろうか。同点ならばまだセーフだ。

→これで魔獣の解放度がMAXになってしまったのなら 26へ
→魔法使いの戦力が上回り、あなたの守りが突破されてしまったのなら 13へ
→これで魔法使いのエサの数がゼロになったなら 19へ
→まだ解放度も守りもエサも残っていれば魔法使いは次も肉を狙って樽を振る 16へ

 

 

 

 

 

 

21

喜んで樽に飛び付いたクロコダイル。
あっという間に樽を壊して魔法使いが与えた魚を全部食べ尽くしてしまう。
【※クロコダイルの解放度を与えたエサの数だけ埋め、魔法使いのエサの数をその分減らすこと】

選択肢通りならば、これでクロコダイルは解放されてしまうはずだ。
鎖を引きちぎったクロコダイルは地獄の門のような大口を開け、魔獣と共にあなたへと襲いかかってきた。
【※クロコダイルの戦力80を魔法使いの戦力にプラスすること】

これで魔法使いの戦力はあなたの戦力を上回ってしまっただろうか。同点ならばまだセーフだ。

→魔法使いの戦力が上回り、あなたの守りが突破されてしまったのなら 13へ
→これで魔法使いのエサの数がゼロになったなら 19へ
→まだ守りもエサも残っていれば魔法使いは次も肉を狙って樽を振る 16へ

 

 

 

 

 

 

22

喜んで樽に飛び付いたコカトリス。
あっという間に樽を壊して魔法使いが与えた麦を全部食べ尽くしてしまう。
【※コカトリスの解放度を与えたエサの数だけ埋め、魔法使いのエサの数をその分減らすこと】

選択肢通りならば、これでコカトリスは解放されてしまうはずだ。
鎖を引きちぎったコカトリスは耳を刺すような金切声を上げると、魔獣と共にあなたへと襲いかかってきた。
【※コカトリスの戦力40を魔法使いの戦力にプラスすること】

これで魔法使いの戦力はあなたの戦力を上回ってしまっただろうか。同点ならばまだセーフだ。

→魔法使いの戦力が上回り、あなたの守りが突破されてしまったのなら 13へ
→これで魔法使いのエサの数がゼロになったなら 19へ
→まだ守りもエサも残っていれば魔法使いは次も肉を狙って樽を振る 16へ

 

 

 

 

 

 

23

喜んで樽に飛び付いたユニコーン。
あっという間に樽を壊して魔法使いが与えた野菜を全部食べ尽くしてしまう。
【※ユニコーンの解放度を与えたエサの数だけ埋め、魔法使いのエサの数をその分減らすこと】

選択肢通りならば、これでユニコーンは解放されてしまうはずだ。
鎖を引きちぎったユニコーンは地鳴りのような嘶きを上げると、魔獣と共にあなたへと襲いかかってきた。
【※ユニコーンの戦力20を魔法使いの戦力にプラスすること】

これで魔法使いの戦力はあなたの戦力を上回ってしまっただろうか。同点ならばまだセーフだ。

→魔法使いの戦力が上回り、あなたの守りが突破されてしまったのなら 13へ
→これで魔法使いのエサの数がゼロになったなら 19へ
→まだ守りもエサも残っていれば魔法使いは次も肉を狙って樽を振る 16へ

 

 

 

 

 

 

24

喜んで樽に飛び付いたノーム。
あっという間に酒を全部飲み干し、樽も壊してペロペロと木枠に着いた分まで舐めとってしまう。
【※ノームの解放度を1つ埋め、魔法使いのエサの数を1つ減らすこと】

ノームは樽1個分の酒で満足する。
鎖を引きちぎったノームはニタリと不気味に笑うと、魔獣と共にあなたへと襲いかかってきた。
【※ノームの戦力10を魔法使いの戦力にプラスすること】

これで魔法使いの戦力はあなたの戦力を上回ってしまっただろうか。同点ならばまだセーフだ。

→魔法使いの戦力が上回り、あなたの守りが突破されてしまったのなら 13へ
→これで魔法使いのエサの数がゼロになったなら 19へ
→まだ守りもエサも残っていれば魔法使いは次も肉を狙って樽を振る 16へ

 

 

 

 

 

 

25

唐突に、魔法使いは大きな欠伸をした。

「ふわぁぁ。そろそろ飽きたわ、終わりにするかの」

これまで聞いてきたのと真逆の、何の感情もこもっていない乾いた声だ。
それにあなたは、却って底知れぬ恐怖を覚えた。
魔法使いが片手を上げて短い呪文を唱える。
途端、その場にあった全ての樽がブルッと一瞬振るえた。
魔法使いはその後、何も言わずにゲームを再開する。
あなたをからかうことも、視線を向けることすらも、もう無かった。

魔法使いは何をしたのか。その答えはすぐに判った。
振る樽、振る樽、そのどれもが中身は肉しか出なくなったのだ。
いや、中身が肉のまま全く変化しなくなったという方が正しかったのかもしれない。
魔法使いが開ける樽、そしてあなたが開ける樽ですら、肉、肉、そしてまた肉……

26へ

 

 

 

 

 

 

26

魔獣が樽の肉を食らい尽くしていく。
そうだ、確かこれが最後の6つめの……

バリバリバリィッ!!
魔獣の背中が大きく裂け、コウモリのような巨大な翼が生える。
鋭く尖った牙、地にしっかと食い込む爪、巨体を支える四肢、そして棘だらけの尻尾。
それらの全てが長く太く、今やはちきれんばかりに膨れ上がっていく。
御付きの者も、守ってくれていた魔物も、もう皆が悲鳴を上げながら散り散りになって逃げ出すばかりだった。
ゲームはこれでもう詰んだ。あなたに勝ち目は、無い。

13へ

 

 

 

 

 

 

27

開いた樽から広がった芳醇な果物の香りが、あなたの勝利を祝う福音となって部屋に響いた。
すっくと立ち上がる聖獣。そしてたじろぐ魔法使い。

「うわっはっはっは! こりゃまた久々にやられたわい!」

魔法使いは心底愉快そうな大声で笑いだした。
バクンッ!!
最後の果物を食べた聖獣の体が、まばゆい金色の光を放つ。
あなたはまたも卑怯な魔法を使われるのではと魔法使いを睨み付けた。だが。

「おいおいそんなに睨むな。こうしてたまに運悪く負けるのもゲームを面白くする大事なスパイスじゃて」

魔法使いが右手を上げると、あなたを襲おうとしていた魔獣や魔物たちは一斉に檻の奥へと戻っていった。

「もちろん約束は守るぞ。ホレ、自由に連れていくがいい」

鎖を引きちぎり解放された聖獣は、あなたの前でじっとその命令を待つ。
あなたは憎き祖国の仇を指さし、叫んだ。

「聖獣よ! お願いです、あの者をやっつけてください!!」

だが魔法使いは余裕の笑みを浮かべる。

「おぉっとそう来るのはお見通しじゃ。だからその手の命令だけは聞かんよう、よーく魔法をかけてあるでなぁ。下らん考えは捨ててとっとと帰ることじゃよ。ひょっひょっ」

聖獣はじっとしたまま動かない。
どこまでも、あの魔法使いは用意周到であった。
あなたは力なくその場に座り込む。
仇を討てなかったのは悔しいが、今、魔法使いに気が変わられでもしたら全ては水の泡だ。
ここは勝負に勝ち、聖獣を手に入れられただけでも良しとしなければ。

→あなたのドレスが汚れているなら 29へ
→そんな覚えは無いなら 28へ

 

 

 

 

 

 

28

こうしてあなたは無事に金色の聖獣を従えることができた。
聖獣の働きは噂通りに確かであり、1匹でも敵の軍勢を次々と撃破していく。
あなたはひとり残った最後の王族として、今日も国土を取り戻すため奮闘する。

父上……、兄上……、どうか見守っていて下さい。
私はきっと、この聖獣と共に平和な祖国を取り戻してみせます……

≪HAPPY END≫

 

 

 

 

 

 

29

その時だった!
逃げようとした魔法使いに飛び掛かる、一陣の疾風!

「おのれ父の! そして民の仇よ!! 覚悟ォッ!!」

ズブシュゥッッ!!!
魔法使いの背に深々と王家の剣を突き立てたのは、そう、あれはあなたの……

「お兄様!!」

「げえぇェ?! お、お前はワシの変化の術で……、ど、どうして元に……」

『戻シタノハ、ワレダ』

その声の主は、冷たい刺すような視線で魔法使いを見下ろしていた。
鎖を引きちぎり自由の身となった、あの金色の聖獣だった。

『始メカラ造作モナイコト。キサマノ術モ、コノ鎖モ』

聖獣の首にかかった鎖が、白い煙と共に一瞬で光と消える。
ブルッと身震いをした聖獣が、フンと1つ鼻息を鳴らした。
やがて王子に剣を引き抜かれた魔法使いは、血を吐いて倒れ伏す。
そんな魔法使いを、尚も平然と見下ろす、聖獣。

『ソコソコ楽シメタゾ人間。ダガモウコノ遊ビモ飽キタノデナ。コレデ終ワリダ』

魔法使いはかっと眼を見開いたまま、震える声でつぶやいた。

「バカな……バカな……、遊ばれていたのは、この、ワシの、方、だと……」

憎き魔法使いは、灰となり散り果てた。
小鬼も樽も、魔獣も魔物も、全てが消えて無くなっていた。

「ありがとう。お前のおかげで助かった。辛い思いをさせてしまって、済まない」

生きて戻って来てくれた兄が、座り込んだあなたに以前と変わらぬ優しい手を差し伸べる。

『ワレハ共ニ行コウ。知恵ト勇気ニ溢レタ、オマエト共ニ……』

冷たさから一転、温かな眼差しをした聖獣の瞳に映っていたのは、あなただった。

 

 

今ここに、戦場を駆け抜ける金と銀の美しい軌跡があった。
金色の聖獣の背に乗り、白銀の鎧を身にまとったあなたの姿だ。
あの魔法使いとの勝負を乗り越えたあなたは、もう守られるだけの深窓の姫君などでは無かった。
新国王となった兄の元で再結集した頼もしき兵団と共に、あなたと聖獣は今日も侵略軍に立ち向かう。
あなたの国が元の平和な国土を取り戻す日も、そう遠くはないだろう。

≪TRUE END≫

 

 

 

 

 

【あとがきのようなもの】

 

ども、作者です。お読み下さりありがとうございます。
本作にはちゃんとした元ネタがあります。ギャンブラーという名のダイスゲームです。
先日某所で遊ばせてもらう機会がありまして、これがとても面白かったのです。
なんかこう、これでデスゲームっぽいのが1本できそうだなーと考えて、あれこれゲームブック風にアレンジしてみました。
結果実際のルールとはだいぶ離れてしまいましたが、いかがなものでしたでしょうか。
感想、批評などなど、何でもお寄せ下さいませ。お待ちしております。